マナーのつもりが…「お礼」に鳴らすクラクション、実は違反の可能性 運転中にやりがちな合図の注意点は? 警察に聞いてみた
「サンキューハザード」の問題点
では、後続車にお礼を伝える意味でハザードランプを点灯させるいわゆる「サンキューハザード」についてはどうか。ハザードランプ、すなわち非常点滅表示灯については、道路交通法施行令第18条で、夜間に道幅が5.5メートル以上の道路に停車や駐車している時は、非常点滅表示灯か尾灯(テールランプ)をつけなければならないとされているなど、使うべき場合は定められている。しかし、「使ってはいけないとは書かれていない」といい、そのため同課は「すぐに違反ではない」とする。ただし、「定められた使い方ではないため、合図を受けた運転者が別の意味で解釈する可能性もある」と注意を促す。
「暗黙の了解」に… 知る機会を望む声
通勤や買い物で毎日車を運転するという長野市の団体職員の女性(39)は、道を譲ってもらった時は「クラクションを鳴らしたり、ハザードランプをつけたり、会釈をしたり、当たり前にやっていた。お礼のクラクションでも違反になるのはびっくり」と驚いた。また、前の車が青信号になっても発進しない時は「気付かないまま止まっていられても困るので、威圧的にならないように、短く軽くクラクションを鳴らして(進むように)促していた」という。「ドライバーは暗黙の了解のような感じで、やっている人も多いと思う。免許更新の際などに知る機会が欲しい」と求めた。
パッシングにも注意
県警交通指導課によると、誤解を生みかねない合図として、パッシングの使い方にも注意が必要という。パッシングとはヘッドライトを素早く点滅させることを指すが、同課は「パッシングに関するルールはない」と指摘する。
例えば、右折待ちの車に対向車線の直進車がパッシングをした場合、道を譲る意味なのか、自分が先に行きたいという意思表示なのかは注意が必要という。この場合、もし両運転者で解釈が異なれば、衝突の危険もある。同課は「相手の動きや周囲の状況をよく見て判断してほしい」と強調した。
思い込みは危険
運転中は、他の車や歩行者などの動きをよく見る必要があり、何らかの合図でコミュニケーションを取り合う場面も少なくない。その際、自分が伝えようとしていることと、相手の受け取り方が必ずしも同じとは限らない。正しい交通ルールを知り、思い込みは危険だということを肝に銘じて運転したい。