松浜軒の長塀修復始まる 八代市 クラファン活用 2025年度完了
八代市の国指定名勝「松浜軒」は15日、庭園内の樹木の成長で倒壊の恐れがある長塀の修復工事起工式を開いた。国などの補助金やクラウドファンディング(CF)で集めた資金を使い、2025年度までに完了する。 修復するのは東側の長塀33メートル。このうち約15メートルがクスノキの根に持ち上げられて歩道側に傾いている。庭園内からチェーンで引っ張るなどの応急処置を施しており、長塀を解体後、樹木を伐採して元に戻す。 事業費は約5400万円。文化庁や熊本県、八代市の補助金で約6割を賄い、不足分は整備事業実行委員会が昨年6~11月にCFで集めた3748万5千円(309人分)を充てる。CFの残額は建物などの修復に使う。 起工式には施工業者ら約30人が出席し、工事の安全を祈願した。松井家14代当主の葵之[みちゆき]さん(77)は「多くの人の支援で着工でき、感謝している。完成まで見守ってほしい」と話した。
松浜軒は八代城主・松井直之が1688年、母・崇芳院[すうほういん]のために建てた御茶屋。肥後六花の一つ「肥後ハナショウブ」の名所として知られる。(河内正一郎)