”和製ロナウド”こと森本貴幸氏がプロ20年間でストライカーとして感じてきた葛藤とは「プライベートでもそんなやつとは一緒にいたくない」 | 内田篤人のFOOTBALL TIME
【国内サッカー・ニュース】DAZNで配信している『内田篤人のFOOTBALL TIME #210』では、元日本代表のFW森本貴幸がゲストとして初登場。20年間のプロキャリアの中で、ストライカーというポジションの難しさについて語った。 ●【動画】山川哲史 、宮代大聖(神戸)、川辺駿、中野就斗(広島)インタビュー
今年10月に昨シーズンに現役を引退していたことを公表した森本貴幸氏。現役時代は和製ロナウドという愛称で、当時の史上最年少出場の15歳10か月6日という若さでJリーグデビューを飾り、華々しいキャリアのスタートを切った後に、イタリアのセリエAを筆頭にギリシャやパラグアイなど様々な海外諸国のチームにも在籍。昨季まで20年間のプロキャリアを築いてきた。ゲストとして初登場した番組内では、これまでのキャリアで感じてきたストライカー論について語った。 現代サッカーにおいてフォワードは、点を取ればいいというポジションでは無くなり始めている。前線での守備はもちろん、チームの戦術によっては中盤まで下がって攻撃の起点を作るタスクを求められるケースも珍しいことではなくなった。多岐に渡るタスクを求められる戦術の変化に、森本もその難しさを肌で感じてきた一人だ。 内田氏からフォワードの難しさについて問われた森本氏は、「(FWは)難しいですね。時代が経つにつれて、チームメイトからしたら助かるフォワードと(チームメイトからしたら)助からないけど、点は取るタイプがいるじゃないですか」と言い、「点は取りたいですよ。でも歳をとるにつれて、(得点以外の)他のことを求められることが増えたので、そこに比重が傾いてしまった」と自身のキャリアを振り返る。 その言葉を受けて内田氏から「それだと良さが消えちゃうでしょ?」と問われると、森本氏は、「そうなんですよ。だから難しいですよ、フォワードって。ずっとガツガツやっていればよかったんですよ。でも点を取れなかった試合とか思うんですよ。点を取っていないのに、守備をやらずに、(DFラインの)裏ばっかり狙っていてダメじゃんみたいな。これってチームのために何の役に立っているのかなと」とストライカーならではの複雑な心境を吐露した。 すると内田氏が「モリのイメージはゴールの印象がすごく強いからそういうのをあんまり考えていないのかと思ったけど、めちゃくちゃ考えているんだね」と返されると、「実は考えているんです。繊細で…(苦笑)」と現役時代の本能的なプレースタイルからは想像がつかない真面目な一面を垣間見せた。 そんな森本氏は現代のストライカーたちをどのように見ているのか。「単純に基礎技術がめちゃくちゃ高いと思います。やる仕事量が増えたので、ボールを止める、蹴るの技術もそうだし、ちょっと中盤まで下がって、収めてターンして、サイドチェンジしたりするのもすごく上手だし」とその凄さを口にしつつも、「でも悔しいですけどね」と感情を漏らす。 また、協調性が強い日本の文化の中で時には点取り屋としてエゴイストな部分が求められるフォワードとして生きていくことの難しさについて森本氏が「嫌われるじゃないですか。プライベートでもそんなやつとは一緒にいたくないとじゃないですか」とストライカーとして抱えてきた葛藤を明かしている。