セールスフォース・ジャパン社長が説く「企業向けAIの課題と対策」とは
「今後の成長に向けてネットワーク運用の自動化を進めたい」(Colt Technology Services アジア太平洋地域社長の水谷安孝氏) 英Colt Technology Services(以下、Colt)の日本法人であるColtテクノロジーサービスは先頃、事業戦略について記者説明会を開いた。英国本社で日本を含めたアジア太平洋地域(APAC)の社長(プレジデント)を務める水谷氏の冒頭の発言は、その会見の質疑応答で、今後の成長に向けての課題を聞いた筆者の質問に答えたものである。 会見内容は関連記事をご覧いただくとして、ここでは水谷氏の冒頭の発言に注目したい。 Coltは、専用線/閉域網接続、クラウド接続、インターネット接続、電話、サイバーセキュリティなどのサービスを顧客ニーズに応じて柔軟に提供するネットワーク事業者で、特に金融系ビジネスに強みを持つ。1992年に英国ロンドンで創業したColtは、今では世界に80を超える拠点を持ち、自社運用の「Colt IQ Network」により、欧州、アジア、北米を中心とする40カ国230都市において、1100カ所以上のデータセンター、50以上の都市部エリアネットワーク、3万2000棟以上の商用ビルを接続している。顧客数は2万7000社を超える。 水谷氏によると、「生成AIの活用が広がっていることで、ネットワーク需要も順調に拡大している」とのこと。非公開企業なので業績の動きなどは不明だが、年間売り上げ規模は23億ユーロ(約3700億円)とのことで、企業向けネットワークサービスプロバイダーとして相応の存在感を示している。 今回の会見でユニークだと感じたのは、同氏が説明したColtの3つの差別化ポイントだ。1つ目は、包括的なグローバル対応だ。「国や地域ごとの事情や文化を理解した上で、複数の国や地域をまたぐ包括的なサービスを提供することができる」 2つ目は、サービスレベルの標準化だ。「国や地域ごとにばらつきがあるサービスレベルをできるだけ標準化することで、ネットワークの運用管理をシンプルにできる」 3つ目は、戦略的な価格設定だ。「顧客ニーズを束ねることで規模の経済を活用し、安価に仕入れて顧客に還元することができる」 この話を聞いて、Coltはネットワーク事業者でありながら、商社のような強みを保持しているという印象を持った。 世界的にデジタルおよびAI需要が拡大している中で、Coltは今後も順調に成長を続けそうだ。今後の成長に向けて課題があるとすれば何か。会見の質疑応答で聞いてみたところ、水谷氏は次のように答えた。 「課題というか、今後の成長に向けて取り組みを強化したいのは、ネットワーク運用の自動化だ。グローバルで多くの事業者を束ねてネットワークを提供していく上で、運用の自動化は必要不可欠だと考えている。しかも国や地域ごとの事情や文化を踏まえるとともに、サービスレベルをさらに上げていけるようにしたい」 冒頭の発言は、このコメントから抜粋した。「目指すは、ネットワーク・アズ・ア・サービス」とも。同社にとってもAIをどう活用するかがカギになりそうだ。