【ラグビー】あの日なぜラインアウトは乱れたか。代表定着目指すジャック・コーネルセンの見解。
数字で全ては表せない。 2月17日、熊谷ラグビー場。リーグワン1部・第7節で、ホストの埼玉パナソニックワイルドナイツが東京サントリーサンゴリアスを24-20で下した。 旧トップリーグ時代から引き続き、一昨季まで2シーズン連続で日本一に輝いたシーズンのファイナルと同カード。激戦必至とされたなか、タッチライン際での攻防の起点、ラインアウトの成功、失敗の本数は、勝者、敗者でそれぞれ「5/5」と「9/9」。いずれも獲得率は5割。互いに攻める機会を失った。 サンゴリアスでは、LOのハリー・ホッキングスが「いずれもいいディフェンスをしていた。ただ、自分たちのアタックの精度が足りなかったとも捉えられます」。跳躍するのとほぼ同じタイミングでワイルドナイツ陣営に競られ、球を失うことが多かった。 対するワイルドナイツでNO8を務めるジャック・コーネルセンは、自分たちがサンゴリアスのラインアウトに圧力をかけられたわけをこう説く。 「ラインアウトのディフェンスは、正しくやれば自分たちの強みになることがわかっていました。試合までの1週間でかなり時間を費やし、ハードワークした。それによって、プレッシャーをかけられたのだと思います。相手がどこで捕るのか、完全にわかるわけではないですが、それについてのある程度のアイデアは頭に浮かんでいました」 ワイルドナイツも自軍ボールでエラーが目立ったものの、中身はサンゴリアスのそれとは違ったようだ。向こうに苦しめられたというより、仲間同士の呼吸が合わずにボールがそれていた。 ワイルドナイツの投入役で主将の坂手淳史が、受け手とのやりとりについて話す。 「僕たちは今週、(ラインアウトで)いろいろと新しいチャレンジをしていた。リーダーからオプション、タイミングについて少しずつ変えたいと考えていて、そこで、ミスが起きてしまった。いいトリガー(動作のきっかけ)、いいスローイングがあれば捕れる部分がある。(防御では)いいスカウティング(分析)をしていて、いい反応、いいジャンプ、いいリフト(支え)をしていました」 数字だけでは示せぬ違いが、そこにあった。少なくともワイルドナイツは、従来と異なるタイミングでキャッチすることへ挑み、結果、反省点を見出していた。 これは必要なトライアル・アンド・エラーだったと、コーネルセンは言う。 「毎週、毎週、試合がある。ちょっとした変化を加えないと(敵に読まれやすくなり)ラインアウトのアタックに強みが生まれません。逆にそこをきちっとできれば、もっといいチームになります」