なぜW杯イヤーにサンウルブズ除外が決定したのか?
国際リーグのスーパーラグビーを統括するサンザーは、2021年以降の同リーグ大会フォーマットを再考。日本から参戦して代表強化に寄与してきたサンウルブズが、2020年の契約満了を最後に除外されることが正式決定した。22日、日本ラグビー協会(日本協会)の坂本典幸専務理事と、サンウルブズを運営するジャパンエスアール(JSR)の渡瀬裕司CEOが都内で会見した。 直接の除外理由は財政的問題だ。サンザーは、かねてよりオーストラリアのテレビ局から14チームの総当たり戦を実施すれば放映権料をアップさせると打診されていた。その際の削減対象となっていたのが、サンウルブズだった。 サンザーは、もしサンウルブズが残留する場合は、日本側に推定約10億円の参加費を要求するとした(坂本専務理事は「金額は秘密契約のため話せない」とコメント)。 その内訳は「本来サンザーが得るはずとされた放映権料の増額分」、これまで主催者側が支払っていた「サンウルブズの遠征費」および「他チームがサンウルブズのホームで試合をする際の滞在費、航空運賃」だった。 日本協会からのJSRへの経済的支援が期待されていた。だが、日本協会の坂本専務理事は、そもそも2016年からのスーパーラグビー参戦以来、放映権料を受け取れなかったこと、サンザーの意思決定機関に日本協会が加われなかったことなどを挙げ、「(サンウルブズはスーパーラグビーに)きわめて特殊な参加条件で参加してきたとご認識いただく必要がある」「日本協会は不利な経済条件のなか、サンウルブズへの経済的支援をいまもおこなっている」と強調。そして今回の経済的な援助を「他の強化を考えると負担できない」と結論づけた。 渡瀬CEOは「(サンザーに残留条件を尋ねても)パフォーマンスについて言われていた。私自身、チームが強くなれば残れると思っていました」と説明した。高額の参加費支払いを求められたのは、今回の会見から「数週間前」だったと話す。 日本協会もJSRも、これまでサンザーとは密に連携を取ってきたとする。しかし、もしそうであれば「数週間前」に法外な金銭を要求されることなどあるのだろうか。 JSRの関係者が「あれはサンザーがサンウルブズを切る口実だった」とこぼすなか、渡瀬CEOはこうも話す。 「サンザーはそれぞれが違った意向を持っている組織だからこそ、なかなかやりにくいところがある。海外と(ビジネス面で)やり合ったことについては、スーパーラグビーで本当に勉強になったことだと思います。これは、日本の財産として残さないといけない。人は、お酒を飲んでいる時とビジネスの時では別。そういう部分で海外とやり合えるよう、もっともっと勉強してパワーアップしないといけない」 サンウルブズは今季これまで5試合を消化。残り11試合も予定通り行われる。今秋開幕のワールドカップ日本大会に向けた日本代表の強化には、直接的な被害は及ばないだろう。