「ビタミンCは風邪の予防になる」は俗説だった? それでもビタミンCをしっかり摂るべき、人間にとって欠かせない作用とは
野菜や果物はビタミンCの宝庫
ビタミンCは、皮膚や細胞の材料であるコラーゲンの合成に不可欠な栄養素です。毛細血管や骨、歯などを正常に保つ、日焼けを防ぐ、免疫力を高めるなどの作用もあります。また、その強い抗酸化作用から、がんや動脈硬化の予防効果が期待されています。 厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で1日あたりのビタミンC推奨量を15歳以上で100mgと定めていますが、「国民健康・栄養調査(令和4年)」によると、20歳以上男女が1日に摂取しているビタミンCは98・0mgとわずかに足りません。 野菜・果物はビタミンCの宝庫です。野菜をあと一皿、あるいは果物をあと1個食べて、1日あたり100mgのビタミンCを摂取するよう心がけましょう。 なお、喫煙者は非喫煙者に比べてビタミンCの消耗が大きいので、さらに多くとる必要があります。他人の吸うたばこの煙をあびる受動喫煙者も同様です。健康のためには禁煙に取り組んだり、受動喫煙を避けたりすることが重要ですが、すぐに実践できない場合はビタミンCを多めにとるようにしましょう。 さらに肥満で糖尿病の方、またその予備軍の方は、糖尿病がない方に比べて代謝異常が亢進し、血中のビタミンC濃度が低下していたという報告があります。ビタミンCは体内で合成されないため、こうした方は適量の野菜・果物を積極的に食べて、食物繊維だけでなくビタミンCをとるようにしましょう。
---------- 林芙美(はやし ふみ) 女子栄養大学栄養学部准教授。健全な食生活は、私たちの健康寿命を延ばすだけでなく、生活の満足感や幸福感を高め、さらには社会・環境面にも良い影響をもたらすという信念のもと、栄養面に加え、環境にも配慮した食生活のあり方について研究している。研究代表者として『人と地球の未来をつくる「健康な食事」実践ガイド』を作成し、科学的・実証的な食に関する知識を広め、健康で持続可能な食生活の実現に貢献している。 ----------
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