小池都知事、出馬表明は告示直前 「圧勝神話」は崩壊か
独自候補の擁立を見送った自民党
【独自候補の擁立を見送った自民党】 5月27日の蓮舫氏の出馬会見について、尾島氏は「立派な方だとは思うが、都政で何をやりたいのかわからなかった。国政の話、自民党の政治とカネの話、政権批判をずっと言っていて、申し訳程度に都政の話をしていた。蓮舫さんは都政に興味がないのではないか。われわれは1400万人の都民一人ひとりの生活と向き合っているわけで、都議会は国における政治とカネの問題を議論している場ではないし、共感する有権者はいないのではないか」と批判する。 ある与党都議は「しっかり選挙をやって、しっかり勝ちたい。蓮舫さんには東京都で、どんな予算をつくってどんな政策をやるのかを示してもらい、どんな街をつくるのかの論争になってほしい。小池さんの8年の実績は有権者に十分アピールする。僕らは組織や団体を見ていない。有権者にちゃんと伝わっているか、という選挙になると思う」と話す。 都議会最大会派である自民党は、独自候補の擁立を見送り、小池氏が立候補すれば応援する方向性を会派として確認している。5月28日には会派幹部と小池氏が会談し、知事選での連携を確認したとみられる。ただ、政治とカネの問題で自民党に吹く強い逆風で、自民党が前面に立つような選挙にはなりにくい情勢だ。 前回の2020年都知事選で歴代2位の約366万票を獲得して、圧勝した小池氏。その後の都内で行なわれた選挙でも、支援した候補が当選を果たすケースが多かったが、最近になって、支援した候補が敗れるケースが目立っている。「小池氏のパワーに陰りが見える」との指摘が出る所以だ。 今年4月の衆院東京15区(江東区)補選で、小池氏は無所属で立候補した乙武洋匡氏(48歳)を全面的に支援。昨年12月の江東区長選で、小池氏が擁立を主導したとされる元東京都部長が当選を果たした実績もあり、小池氏による乙武氏支援は、かなりの票につながるとの見方が強かった。 同補選を取材していた筆者は、江東区内で小池氏が乙武氏と一緒に選挙カーに乗り込み、自らマイクを取って懸命に乙武氏への投票を呼び掛ける姿を何度も見かけている。「乙武氏は、まさに小池氏が擁立した候補だ」と実感させる情景だった。しかし、乙武氏は当選を果たせないばかりか、5位の得票に終わった。支持者らの予想を大きく裏切る結果となった。 さらに5月26日に投開票された都議補選(目黒区選挙区、被選挙数2)では、小池氏支援の自民候補に対し、立憲候補がダブルスコアに近い票差でトップ当選し、自民候補は3位で落選している。 小池流〝神通力〟は今なお有効か。強敵・蓮舫氏との間の戦いで真価が問われている。
竪場勝司・ライター