桐谷美玲「途中で投げ出さない」芯の強さで女優業に磨き
先輩たちのアドバイスに「応えようと勉強した」
女優としての活動に話を戻す。まだまだ女優として駆け出しで撮影が嫌だったころ、そのネガティブな桐谷の姿勢を変えたのが、2011年の映画『ジーン・ワルツ』だった。 役どころは妊娠した女性で、出産シーンにも挑んだ。「現場に入った時はいつものように緊張と不安ばかりでしたが、菅野美穂さんや南果歩さん、そして浅丘ルリ子さんたちからアドバイスをいただいて、それに応えようとして必死に勉強しました。そんな先輩たちから『どんどん良くなっているよ』と言われたときに嬉しかったし、その時に『楽しむことが大事』と当たり前の事に気付かされた」。 それからというもの女優の仕事に対して「『ただただ不安で、ただただ怖い』だけではなくなった」と、肩の力を抜いたことで視点が180度変わった。 今年は映画主演作が立て続けに公開されるが「主演という気負いはありません。私は頼りないから、周りの方々に助けてもらいながらやっているだけ。もちろん『主演だから、私が引っ張る!』と言えたらカッコいいけれど、それは出来ないタイプなので」と自らの性格を見つめたうえで、チームワークでカバーする。 ようやく大学を卒業し、女優業へ専念できる。それでも「卒業したけれど、『これから、より気合を入れてやるぞ!』という気持ちには、実はなっていません。今までと何も変わらない」と、ここでも肩肘を張らずに気負わない。そんな桐谷の目下の悩みは「(海外の仕事などで)入国審査の時に“学生”って書けなくなったこと」だという。「これからは何て書けばいいのかな?」と、新たに置かれた立場を楽しんでいるような笑顔をみせた。 (取材・文/石井隼人) ■桐谷美玲(きりたに・みれい)1989年12月16日、千葉県出身。主演映画『恋する・ヴァンパイア』が、4月17日より全国公開。世界一のパン職人になる夢を持つキイラ(桐谷)は普通の女の子だが、一つだけ違うところがある。それは“ヴァンパイア”として生まれた事。そんなキイラが8年ぶりに初恋の人・哲(戸田祥太)と再会したことから、大騒動が巻き起こる……。また主演映画『ヒロイン失格』の公開も9月19日に控えている。