人間の代わりに働く“デジタル・エージェント”が登場する!?落合陽一が予想する新たな価値観「デジタルネイチャー」の世界
マッチングの精度も高まるが…
デジタルネイチャーと化した世界では、恋愛の認識が変わると思います。 僕自身は、人口統計に関わる問題に計算機が介入しすぎるのは倫理的に間違っていると考えているのですが…。 たとえば、現在のマッチングアプリは、「友達の友達を紹介する」くらいの精度しかなくて、そこまで性能が高くありません。 もし生成AIなどのテクノロジーを取り入れれば、人間同士の相性を十分に考慮し、非常に効率がよいマッチングを実現できるのではないかと考えています。 極端な話ですが、2~3言話したり、2~3回LINEをやり取りしたり、それまでの背景知識やライフログを交換したりすれば、お互いの相性がわかるようになるかもしれません。 ただ、いかに効率がよいマッチングであっても、行きすぎはよくないこともわかっています。 なぜなら、自分の家庭生活に効率のよさを求めるかどうかは、個人の価値観で分かれる部分だと思いますし、仮にデータ上は自分にとって「効率が悪い相手」であろうが、そこを乗り越えてでもこの人と一緒にいたいと考える人もいるはずです。 その点でも、あまりに精度の高いマッチングツールの導入については、今後もまだまだ議論の余地があるでしょう。
“デジタル・エージェント”の登場!?
人間に限りなく近いAIが登場し、いずれ自分自身を「計算」できるようになります。 その計算は人とAIの関係性を脱構築するでしょう。はたして、そんなデジタルネイチャーの世界の未来はどんなかたちになっているのでしょうか。 10年後の未来、生成AIによって大きな社会変化をもたらすと思われるのが、「デジタルヒューマン」の登場です。 特にビジネスの世界では人間の代わりに働いてくれる「デジタル・エージェント」が、一般に普及しているのではないかと思います。 現在のAIは、それぞれの特性や機能が大きく差別化されているため、ユーザーの用途によって使い分けられています。 僕の場合も、検索するならPerplexity、サーベイをまとめるときはCopilot、プログラムを書くときはClaudeを使います。 そして、これらを使ってもうまくいかないものはChatGPTのAPIでコードを書きます。 さらに、音楽をつくるときは、SpliceやSunoといったAIアプリを利用しますし、画像生成で写実的な絵をつくりたいときはMidjourney、リアルタイムに画像をつくりたいときはStabilityのSDXLのLCMやSDXL Turbo1などを選びます。 また、動画をつくるときはRunwayMLやAnimate-Diff、KaiberなどのAIを作風に合わせて使い分けます。 このように現代ではタスクに応じて、ユーザーがものすごく膨大な量のAIを使い分けなければいけません。しかも、AIは日々めまぐるしく進化していくので、情報のアップデートも必要になってきます。 しかし、デジタル・エージェントの登場後はあらゆるタスクをすべて一元管理してくれ、そのタスクに合わせた最適なAIを提案してくれるようになるはずです。 さらに、「このようなプランを実現するにはどうすればいい?」とデジタル・エージェントに相談すれば最適なプランを提案してくれるようになるでしょうし、最終的に「こういうふうに作っておいて」と指示さえすれば形にしてくれるようになるので、業務はかなり簡略化されるでしょう。 そんな未来が、もうすぐそこまで来ています。