脱炭素、難民流入、インフラ崩壊…世界の「見切り品ショップ」に成り果てたドイツが歩み続ける「発展途上国への道」
なんと国際競争力が24位にまで急降下中
実は、ドイツの公共インフラはすでにボロボロだ。16年も続いた前メルケル政権は、EUで一人勝ちと言われた好景気時代に内需を疎かにし、国防費を切り詰め、警察も縮小し、ましてや、長い年月とコストがかかる割には、その効果が評価されるかどうかわからないような国土強靭化のための公共投資などには、ほとんどお金を使わなかった。疎かにされたのは教育も同様で、校舎が老朽化しただけでなく、教師は不足し、子供の学力も落ちた。 その無責任な政治を引き継いだ現政権が、インフラの崩壊を食い止めるべく、今、必死で鉄道網や、道路網、デジタル網などの増強に勤しんでいるが、資金不足と人手不足、さらにこれが一番問題なのだが、施政能力の不足で一向に捗らない。そうするうちに、ドイツの国際競争力は、今やなんと24位にまで落っこちてしまった(6月18日に発表されたStatistaの調査結果)。2014年は6位、22年は15位とコンスタントに下降していたものの、この2年間での急降下は激しい。 この数字が発表された日、フランクフルター・アルゲマイネ紙は下落の原因を、高いエネルギー、高い税金、そして、インフラの悪さであると分析した。 ●Standort Deutschland wird immer unattraktiver(Frankfurter Allgemeine, 18.06.2024) ちなみに国際競争力の1~3位は、シンガポール、スイス、デンマークだ。中国は14位、サウジアラビアが16位。それに比して欧米勢は、オーストリアが26位、イギリスが28位、フランスが31位と、どれも芳しくない。ロシア制裁に熱心な国々が打撃を受けている様子が明白だ。 話を「見切り品ショップ」に戻すと、ドイツでは現在、テクノロジーによる成長が止まっており、投資家は、よほど良い条件が提示された場合のみ、散発的に投資する状態だという。 ヴァイマー氏によれば、「経済的には、ドイツは発展途上国への道を歩んでおり」、ヨーロッパにおいては、「すでにブレーキ役として認識されている」。 投資に関する悪条件は、エネルギー政策の失敗の他、誤った移民政策、デジタル化の遅延、税制の問題や行き過ぎた官僚・書類主義など多岐にわたる。いずれにせよドイツがEUの牽引役だと思っているのは、未だに政府のグリーン・ディールやデジタル・トランスフォーメーションなどの効用を信じている人々だけかもしれない。 先日の欧州議会選挙での与党の惨敗が示すように、すでに多くの国民は、ドイツの劣化に危機感を募らせている。 そのためヴァイマー氏は、ドイツに対する信頼を取り戻すためには、経済界が立ち上がり、自らの手で積極的に事態を改善させようと呼びかけた。ドイツ政府にはとっくに匙を投げているらしい。 一方のジン氏は、現在の様子を「ドイツは燃えている」と表現。これは、ドイツが現在、過去の産業(=栄光)を自ら燃やしているという意味で、背筋が寒くなる図だ。