「はにわ展」を100倍楽しむ方法、激混み回避&超効率見学のマル秘テクを古墳王子が大公開!
見どころ【3】 隠れた鹿を探せ!今城塚古墳の盾形埴輪
見事な造形の武人埴輪と巫女形埴輪カップル、そして日本最大級の家形埴輪の横で完全に目立たない存在と化してしまった今城塚古墳の盾形埴輪。 観覧中の皆さんからスルーされることも多くちょっと可哀想なので、このコラムを読んで『はにわ展』に行ってみようと思ってくださった方はぜひ盾形埴輪に刻まれた鹿の線刻(イラスト)を見つけてほしいです。表と裏に1匹ずつ、よーく目を凝らしてお探しください!
見どころ【4】 まさかの合体ロボ?!『埴輪 あごひげの男子』
千葉や茨城で出土例が多い、とんがり帽子と顎髭が特徴的な人物埴輪。思わず背比べをしたくなるような大きなサイズ感と、ズボンに描かれた水玉模様の鮮やかな染色が当時最先端のファッションの流行を表現しているみたいで、古墳時代に生きた埴輪職人の几帳面さが垣間見えます。 そして驚きなのはこの埴輪、なんと複数の個体の破片を集めてつなぎ合わせた合体ロボだってこと!想像してみてください。時代の荒波と戦ってバラバラに砕かれてしまった埴輪戦隊メンバーたちの破片が、見えざる力の手によって一つに結合し、巨大化ロボ埴輪となって今ここに見参するイメージを。私たちはその瞬間に立ち会っているのだ……!!
見どころ【5】 屋根だけやん!な経ノ塚古墳の家形埴輪
ズラリと並ぶ円筒埴輪の面々や日本最大級の船形埴輪に挟まれて何だか可哀想。屋根だけしかないちょっと貧相な(失礼!)家形埴輪だと思ったら大間違い!実はこちら、屋根を地面まで葺き下ろした竪穴建物なんです。 古墳時代当時は関西が文化の中心で、この家形埴輪は日本最北の出土例。誠に失礼ながら、東北の埴輪職人さんが家形埴輪に憧れて作ってみたけど建物と竪穴住居がごっちゃになってしまったんだろうか(ごめんね)。 他にも豪華な家形埴輪が並んでいるなか、ぼくがあえてちょっと地味な経ノ塚古墳の家形埴輪を選んだ理由。それは去年、実際に出土地である宮城県名取市の経ノ塚古墳を訪ねたから。 この古墳は海の近く、太平洋の海岸砂丘上に築かれていたのですが土取り工事などによりどんどん墳丘が削られて、もはや現況をとどめていません。しかも東日本大震災の津波の被害に遭ったりと苦労を重ねた古墳だったので強く印象に残っていたのです。 そんな波瀾万丈の人生(墳生?)を送る経ノ塚古墳ですが考古学界では大変知名度が高く、明治45年の調査で見つかった長持型組合石棺・鹿角製刀装身具・鎧形埴輪は家形埴輪同様に日本最北の出土例であり、国の重要文化財に指定されたものもあります。 後編では、見どころ【6】~【10】と「はにわ展」攻略の秘策について紹介していきます。 文/古墳王子 愛知県在住の現役高校生。小学4年生で古墳の魅力に目覚め、南は鹿児島から北は北海道まで延べ3000基以上の古墳を巡りSNSで情報発信中。古墳だけでなく縄文や弥生時代にも目を向け、日々各地の博物館に出没し先史古代の珍しい逸品を探しています。 X(旧Twitter):https://twitter.com/kotetu2019 Instagram:https://instagram.com/kofun_ouji/ ■挂甲の武人 国宝指定50周年記念 特別展「はにわ」詳細 会期:2024年10月16日(水)~12月8日(日) 会場:東京国立博物館 平成館(上野公園) 開館時間:9時30分~17時00分 ※毎週金・土曜日は20時00分まで開館 ※入館は閉館の30分前まで 観覧料金:一般 2,100円(一般前売1,900円)、大学生 1,300円(大学生前売1,100円)、高校生 900円(高校生前売700円) 公式サイト:https://haniwa820.exhibit.jp/ 公式X:https://x.com/haniwa820_ten 公式Instagram:https://www.instagram.com/haniwa820_ten/
@DIME編集部