父の十三回忌に合わせ「野外歌舞伎」再演…島に響いた迫真の叫び 中村勘九郎さんら流刑伝説の地で13年ぶり「俊寛」 三島村・硫黄島
俊寛流刑の伝説が残る鹿児島県三島村硫黄島で22日夜、中村勘九郎さんらによる歌舞伎「俊寛」が野外上演された。1996年と2011年に演じた父・勘三郎さんの十三回忌に合わせ、13年ぶりに実施。島の自然を背景に伝説が再現され、全国から集まったツアー客や村民ら約500人を魅了した。 【写真】〈別カット〉気迫のこもった立ちまわりを演じる俊寛役の中村勘九郎さん(左)ら=22日午後8時5分、三島村硫黄島
平家への謀反で流刑にされた僧・俊寛らのうち、俊寛だけ赦免されず残されるというあらすじ。長浜浦の浜辺に特設したステージで、勘三郎さんの長男・勘九郎さん、次男・七之助さん、孫・勘太郎さんらが約1時間半、迫真の演技を見せた。公演終盤、都に戻る赦免船に向かって「オーイ」と手を伸ばす俊寛の悲痛な叫びに、観客はくぎ付けになった。 三島硫黄島学園9年の海老原太陽さん(15)は「波の音や島の風景が歌舞伎にマッチしていた。生まれ育った地で初めて観劇できてうれしい」と感動していた。
南日本新聞 | 鹿児島