【千葉魂】心つながりCS進出 和田の声出しチーム鼓舞 千葉ロッテ(第444回)
普段は決して口数が多い方ではない和田康士朗外野手の試合前円陣での声出しにチームは沸いた。2連敗と重苦しい雰囲気が漂いながら迎えた9月28日、ベルーナドームでのライオンズ2連戦初戦。試合前にベンチ前で行う恒例の円陣で選手たちの真ん中に25歳の若者がいた。 「心がつながれば打線はつながると思うので、今日はしっかり心と心で今日の試合に臨んでいきましょう。いきます! さあ、行こう」 初戦を5-1で勝ち連敗を止めると、翌29日も2-0で勝利。30日、場所を移して仙台でのイーグル2連戦も初戦を九回に勝ち越し2-1で制すると、10月1日の同カードも5-1で勝利し3位が決定。2年連続のAクラスでクライマックスシリーズ進出を決めた。 いずれの試合も試合前円陣の声出しは和田。「心と心。心がつながれば打線もつながります」のメッセージから始まり、「ですよねえ?」とチームメートを指名した。ネフタリ・ソト内野手を指名した時もあれば、ベテランの荻野貴司外野手に「荻野さん、心と心」とお互いの胸を指さしながら伝えたこともあった。そしてクライマックスシリーズ進出を決めた1日の試合は、まさかの福浦和也ヘッドコーチ兼打撃コーチを指名すると、場はドッと盛り上がった。 「元々はソトさんとかポランコさんとたわいもない会話をしている時に『心と心だよ』と言って盛り上がったりしていた。それを思い出して、円陣の声出しでも使えるなと思いました」と和田。 英語でいうと「heart to heart」。スペイン語だと「corazón a corazón」。助っ人選手たちもすっかりこのフレーズが気に入り、試合前から連呼する。士気はおのずと高まった。なによりも普段はどちらかというとおとなしい和田が殻を破ったかのように声を張り上げて、チームを鼓舞する姿が仲間たちを奮い立たせた。 8月は12勝15敗と負け越し。苦しい日々だった。9月はなんとか10勝10敗の五分で切り抜けると、クライマックスシリーズ進出の道は開けた。最後は和田の言葉通り、心と心をつないで勝利した。 仙台で3位を決めた試合後。選手たちはブルペンに集合した。吉井理人監督が「みんなのおかげでクライマックスシリーズ進出が決まりました。ありがとう」とあいさつをした後、「それじゃあ、和田から一言」と無茶ぶり。指名された和田は「お疲れさまです。みんなの頑張りでクライマックスシリーズ進出が決まりました。まだまだ終わりではありません。勝ち抜いていくことが目標です。また心と心をつないでやっていきましょう! 心と心です!」と声を張り上げると爆笑の渦に包まれた。 一時は沈んでいたマリーンズは所沢、仙台の遠征を経て最高の雰囲気でクライマックスシリーズに挑む。苦難を乗り越え、チームとしても一つ、成長した日々だった。つぎなる相手は北の大地で2位ファイターズ。心と心をつないで勝利するだけだ。 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)