ワン・イーボーに降りかかる危機… 23億回再生突破、見始めたら止まらない大ヒット経済ドラマ<追風者~金融界の夜明けへ~>
中国の人気俳優ワン・イーボーの主演ドラマ最新作「追風者(ついふうしゃ)~金融界の夜明けへ~」(2024年)が11月10日(日)夜10:00から早くもCS放送「衛星劇場」で日本初放送を迎える。1930年代の上海金融界を舞台にした緻密でスリリングなストーリー展開、そしてその中で、出世作「陳情令」(2019年)の藍忘機(ラン・ワンジー)とは全く違う顔を見せる俳優ワン・イーボー…。すさまじい中毒性で視聴者を虜にする本作の魅力に迫る。 【写真】美しい…リー・チン演じるシェン・ジンジェン ■命懸けの攻防の中で迫られる決断…予測不可能!スリリングな展開 「追風者~金融界の夜明けへ~」は、2024年3月に中国で放送&配信された現代ドラマ。放送月のドラマ熱度ランキングで現代ドラマトップの好成績を記録し、半年足らずで再生回数23億回を突破(※映画・ドラマのデータベース「猫眼専業版」より2024年8月1日時点)した大ヒット作だ。 舞台は1930年台の上海。会計学校に通っていた魏若来(ウェイ・ルオライ/ワン・イーボー)は、人並外れた記憶力や判断力を持つ天才ながら、共産党の本拠地出身という理由で卒業証書がなかなかもらえず、就職もできずにいた。アルバイトで生計を立て、なんとか国民党の中央銀行上級顧問・沈図南(シェン・トゥーナン/ワン・ヤン)の目に留まり、彼の助手となって金融業界最前線で働き始める。 だがそこで若来が見たものは、金融業界にはびこる腐敗と闇――。図南への恩と金融業界への失望のはざまで苦悩する中、若来は図南の妹で共産党員の沈近真(シェン・ジンジェン/リー・チン)と運命的な出会いを果たす。彼らの背景にうごめくのは、国民党と共産党の命を懸けた攻防戦。決断のタイミング一つ誤れば、敵の銃弾の餌食になってしまう。しかもその“敵”は、信じる友や家族かもしれないのだ。 次々と降りかかる命の危機に、若来が持ち前の才能を駆使して立ち向かう。そして、死をも辞さない近真の信念を目の当たりにする中で、やがて若来も自らの信念と行動を見つめ直す決断を迫られていく――。公開から半年足らずで23億回再生のヒットぶりもうなずける緻密で先が読めないスリリングな展開が、本作最大の見どころだ。 ■「陳情令」では耽美なブロマンスも…ワン・イーボー来歴 ワン・イーボーといえば、まず思い出すのは2019年の大ヒットドラマ「陳情令」だろう。戒律を重んじる物静かな青年・藍忘機を演じ、シャオ・ジャン演じる天真らんまんな義無羨(ウェイ・ウーシェン)との耽美なブロマンスでも注目を集めた。ドラマは1日の最高再生回数2億回という爆発的大ヒットを記録し、主演を務めた2人はそろって一躍スターの階段を駆け上った。 「陳情令」の大ヒット後は、日本でも彼の主演ドラマが次々と放送・配信される人気ぶり。2023年には映画主演映画「無名」「ボーン・トゥ・フライ」の演技が認められ、「第20回映画チャンネル メディア大賞」で主演男優賞を受賞するなど、いま中国でもっとも注目を集める若手俳優の一人だ。 過去にはアイドルとしても活動しており、俳優以外に歌手、ダンサー、ラッパー、バイク・レーサーの顔も持つ。 中でもダンサーとしてサバイバル番組でチャンピオンに輝き、中国版「プロデュース101」でダンストレーナーを務めるなど才能を発揮している。 ■金融の天才“若来”のキャラクターに漂う期待感 そんな彼にとって本作「追風者~金融界の夜明けへ~」は、ハードボイルドな刑事を演じた現代ドラマ「冰雨火~BEING A HERO~」以来、1年半ぶりのドラマ出演作だ。演じる若来は、身なりも質素で一見すると気の弱そうなキャラクター。だが、実は天才的な計算能力と記憶力、それらに裏打ちされた判断力を持っていて、ここぞという時に本来の魅力が顔を出す。 序盤でその魅力が発揮されるのが、図南との初対面の場でもある中央銀行採用面接のワンシーン。課題を与えられた途端、おどおどした態度から一変し、いきいきと自信あふれる表情に。渡された資料を瞬時に覚えて楽々と暗唱し、天才の片りんを覗かせて図南と視聴者の心をがっちり掴んでみせる。ギャップの魅力もさることながら、序盤から“この主人公ならすごいことをやり遂げてみせるに違いない”という期待感を抱かせてくれる魅力を持ったキャラクターだ。 ■“信念”と“信頼”のはざまで揺れ動く3人の絆が胸を打つ 加えて、若来と信頼関係で結ばれる図南・近真の2人がまた、魅力的だ。大ヒット時代劇「慶余年~麒麟児、現る~」(2019年)の実力派ワン・ヤンが若来の才能を見出す経済界の大物・沈図南を、同じく「慶余年―」のヒロイン役でブレイクしたスター女優リー・チンは、国民党の大物・図南の妹でありながら、秘密裡に活動する共産党員という2つの異なる顔を持つヒロイン沈近真を演じている。 強い信頼関係で結ばれながらも、国民党と共産党という対立軸の中で互いに本心を隠し、命懸けの騙し合いをしなければならない3人…。“信念”と“信頼”のはざまで揺れ動く切ない関係性が激しく胸を打つ。 腐敗はびこる金融界で、信念を貫くか信頼を守り通すかの決断を迫られる若来。手に汗握る攻防の中、薄氷を踏むようにギリギリのところで切り抜けていく若来の活躍ぶりにスカッとさせられ、後半は3人の絆とどうしようもない対立に涙を禁じ得ない…。クライマックスまで飽きることなく惹きつける力強い脚本も見どころだ。 耽美な藍忘機とは対極の、理想のために泥臭く前進するワン・イーボーに会えるドラマ「追風者~金融界の夜明けへ~」は11月10日(日)よりCS放送「衛星劇場」で日本初放送。 ◆文=酒寄美智子