本白根山「想定外」の噴火、隣接の長野県も警戒強める
草津白根山の本白根山(もとしらねさん)=群馬県草津町=の噴火を受け、隣接の長野県は23日、関係部局による防災担当者連絡会議を開き、情報収集、被害確認などの対応を決めました。本白根山は長野県境に近く、今回は観測体制が手薄な想定外の地点の噴火。多くの犠牲者が出た2014年の御嶽山(長野・岐阜県境)噴火でも観測体制が論議されていることから、同県は群馬県と連絡を取りながら今後の火山活動への警戒を強めることにしています。 【図表】草津白根山が噴火 「噴火速報」と「噴火警戒レベル」とは?
白根山や湯釜に集中した観測地点
本白根山の噴火では、24日時点で陸自隊員1人が死亡、スキーら10人以上が負傷。この日の会議で、長野県各部局の報告から県内域では被害が確認されていないことが分かりました。 また「想定されていなかった『本白根山の鏡池』での噴火だったことに注目していきたい」とし、「今後の噴火など万一に備えて連絡体制を取っていきたい」と関係部局に指示がありました。群馬県とも情報を共有し、警戒態勢を取る方針も確認しました。 気象庁によると、全国111の活火山を対象に噴火警報・予報を発表していて、常時観測が必要な50の活火山のうち、38火山で「噴火警戒レベル」を設定しています。今回はレベル1(活火山であることに留意)の状態から突然噴火しました。このため想定外の噴火として関係者を驚かせています。ちなみに、警戒レベルは2で「火口周辺規制」、3で「入山規制」などと次第に強まり、レベル5では「避難」となります。
気象庁の発表資料によると、1月23日午前9時59分に草津白根山で振幅の大きな火山性微動が発生し約8分継続。その後、火山性地震が多数発生しました。 今回の噴火が想定外とされたことを裏付けるのが観測地点の分布。気象庁資料によると、観測地点は「白根山」や「湯釜」などに集中しており、「本白根山」周辺は注目されていませんでした。 気象庁発表の火山活動資料は以下の説明に併せて注意を呼び掛けています。 (1)23日9時59分ごろ、本白根山の鏡池付近で噴火が発生。降灰の聞き取り調査の結果、本白根山から北東に約8キロの群馬県中之条町で降灰を確認。 (2)噴火後、振幅の小さな火山性地震が多い状態が継続。 (3)防災上の警戒事項として本白根山鏡池付近からおおむね2キロメートルの範囲では噴火に伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石に要警戒。 (4)噴火時には、風下側で火山灰だけでなく小さな噴石が風に流されて降るおそれがあり注意。爆発的噴火に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため注意。ところどころで火山ガスの噴出があり、周辺のくぼ地や谷地形などでは高濃度の火山ガスが滞留することがあるので注意が必要。雪崩にも注意。 噴火地点から長野県境までは約3キロで、付近は群馬、長野両県にまたがって多くの観光客が車やバスで行き交う人気の観光スポットになっています。
---------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者・編集者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説