花王に企業価値向上策を要求、オアシスが声明-株価は一時7%高
(ブルームバーグ): 香港のヘッジファンド、オアシス・マネジメントは、花王に低採算ブランドの削減やマーケティングの経験を持つ社外取締役の任命などの企業価値向上策に取り組むよう求めた。3日付の声明で発表した。花王の株価は4日の取引で一時7%超の大幅高となった。
オアシスは花王に、主要な化粧品とスキンケアブランドの国際的成長に重点を置くこと、低採算ブランドや過剰在庫を削減すること、国際経験を持つ最高マーケティング責任者(CMO)を直ちに起用してマーケティング改革を実行することなども要求した。
声明では、花王はグローバルに展開するロレアルやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)などと競合できる製品群を持ち化粧品・消費財業界で世界をリードする存在になり得ると指摘。しかし、売上高成長率、利益率、自己資本利益率(ROE)は他社水準を下回り、株価が低迷し続けているとして改善を求めた。
オアシスは企業価値向上策の導入で、花王の株価は1万円を超えると試算。3日終値の5801円から7割以上の上昇余地があることになる。4日は買い気配で始まり、一時前日比7.3%高の6224円と2022年8月以来の日中高値を付けた。声明によるとオアシスは花王の長期株主。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹運用部長は、オアシスの要求は「変革のスピードが上がるのではないかという期待につながる」と指摘。花王はもともと収益率にこだわりを持つ優良企業だが、中国事業の苦戦が業績に影響する中、改善に向け改めて花王の「背中を押す」ことになるのではないかとみている。
オアシスCIO(最高投資責任者)のセス・フィッシャー氏は3月、企業収益が好調な日本に引き続き強気の姿勢を表明。消費者関連企業に出資していると明かし、日本企業の収益性改善の過程でさらに多くのディールメーキングの余地があるとの認識を示していた。同社はこれまでにドラッグストアチェーン業界に積極的に投資している。