若手抜擢の新生・なでしこは世代交代に成功するか?
8月1日から中国・武漢で開催される東アジアカップに臨むなでしこジャパンのメンバー23人が21日、日本サッカー協会から発表された。 準優勝した女子W杯から帰国した今月7日の時点で、東アジアカップを「新戦力を発掘する場」とすると示唆していたなでしこの佐々木則夫監督は、言葉通りにW杯メンバーを6人にとどめる大胆なメンバー構成を選択。代表キャップ数がひと桁の選手が13人、初招集が4人を数える布陣で北朝鮮戦(1日)、韓国戦(4日)、中国戦(8日)に臨む。 新たなメンバーのなかで、指揮官がもっとも大きな期待をかけている一人が22歳のMF京川舞(INAC神戸レオネッサ)となるだろう。 なでしこへ招集されるのは、宮城・常盤木学園高校卒業を目前に控えていた2012年3月のアルガルベカップ以来となる。直後に開幕したなでしこリーグでも、序盤の4試合で5ゴールを量産。162cm、52kgの体に凝縮された類希な得点感覚にほれ込んだ佐々木監督が、ロンドン五輪代表への抜擢を示唆した直後に悪夢に見舞われた。 左ひざの前十字じん帯を断裂し、さらにはじん帯と半月板を損傷する全治6カ月以上の大けが。シーズンの大半を棒に振ることを余儀なくされたばかりか、翌2013年シーズンもけがを繰り返すなど、出場6試合で1ゴールに甘んじるなど精彩を欠いた。 2020年の東京五輪開催が決まった直後の2013年秋。26歳と心身ともにあぶらが乗り切った年齢で迎えるはずのヒノキ舞台出場にかける思いを、京川に取材したことがある。 「どうしても消極的になるところがあるんです。チームのスタイルであるポゼッションを意識すると自分の長所を出せないし、自分の長所を意識すると今度はチームの流れに合わせられなくて……自分自身で感じているレベルと、周囲から期待されているレベルにすごく差があって、焦りみたいなものも感じていました」 忸怩たる思いを抱えながらも、京川は自分が進むべき道を必死に模索していた。 「まだ自分自身のスタイルというか、こういう選手になりたいというビジョンを持てていない。その意味では、男子で言えば岡崎慎司選手や大久保嘉人選手、佐藤寿人選手のように、ワンタッチでゴールを仕留められるFWになりたいという思いがあります」 選手生命を左右しかねない大けがから3年あまり。ようやくトップフォームを取り戻した京川は、攻撃的MFもしくは2トップの一角のレギュラーをゲットし、なでしこリーグの得点ランキングで4位タイとなる6ゴールをマーク。チームを首位へ押し上げる決勝ゴールを決めた17日のスペランツァFC大阪高槻戦には、決意を込めてこう語っている。 「なかなか若手が出てこない、と言われているのは分かっている。自分たちの年代がアピールして、代表に入っていかないといけない」