海外メディアは「フェデラーの敗北」を報道。「ショック」「信じられない錦織の運動神経」
テニスの年間ポイントの上位8人で争われるATPツアー・ファイナルズが11日、ロンドンで開幕し、男子シングルスで世界ランキング9位の錦織圭(28、日清食品)が同3位のロジャー・フェデラー(37、スイス)を7―6、6―3のストレートで下す快挙を演じた。錦織がフェデラーに土をつけたのは、2014年3月のマイアミ・オープン以来、4年8カ月ぶりで、連敗を6でストップした。通算対戦成績は3勝7敗となった。 海外メディアは、優勝候補のフェデラーが敗れるーという論調で一斉にこの試合を報道した。 英国のBBCは、「フェデラーは失敗を重ねてATPファイナルズの1次リーグの初戦で日本の錦織に敗れた」と伝えた。 「フェデラーがフォアハンドのミスをして錦織が勝利を手にした。普段は冷静なフェデラーはらしくない苛立ちを見せた。34本のミスを重ね、第1セットには、観客席にボールを打ち込んで主審から警告を受けた」と、フェデラーの様子をレポートした。 フェデラーが、この大会の1次リーグ初戦で敗れるのは4回目で、2007年には初戦敗退から巻き返して優勝したことがあるという。 元世界ランキング4位のティム・ヘンマン氏は、フェデラーの敗戦をこう解説した。 「フェデラーは過去に馬鹿にしているのか?と思えるほど簡単にプレーをしているように勝ってきたが、今夜は、何も簡単にはいかず、見ている人たちの驚きとなった。試合前に私は、錦織が勝つためには、フェデラーが大きく調子を落としたり、ミスをする必要があると予測していたが、それが起きてしまった。フェデラーは、ベースラインの後ろから1度もリズムをつかめなかった。錦織は、決して素晴らしいサーバーではないが、フェデラーは第1セットでブレークポイントをつかめなかった。時間が経てば経つほど、ベースラインの後ろからのミスが出るなど、彼のポジションは正しい位置になかった」 またBBCのテニス編集委員のラッセル・フラー氏も、「フェデラーはATPファイナルズの一次リーグで11連勝していたが、この不安定なプレーで準決勝への道筋はとても難しいものとなった」と指摘。「第1セットの5―6の0―30から錦織が信じられない運動神経でバックハンドのハーフボレーを決めて挽回。そのセットのタイブレークを7―4で奪うと、彼は、より力強く自信に溢れた選手となった。適切なタイミングでのサーブやボレーで、錦織はフェデラーとの対戦を6連敗で止めた」と、錦織を絶賛した。 英国のミラー紙も「フェデラーがATPファイナルズで錦織に敗北。ショックを受ける」との見出しで「スイスのスーパースターが敗れ、ATPツアー100度目の優勝への望みをかけて次戦でドミニク・ティエムに勝たなければならなくなった」と報じた。 同紙によると、フェデラーのファイナル出場は、これで16度目になるが、1次リーグの初戦でストレート負けするのは初。「ロイヤルブルーのテニスウェアを着用したテニスの王様は、序盤のサーブリターンでタイミングが合わず、コートにボールを打ちつけて跳ね返ったボールが自分のあごに当たり、苛立ちをボールパーソン(ボールを拾う人)に向けているようだった」と、平常心を失っていたフェデラーの様子を伝えた。