藤田健児 大アクシデントを乗り越え東洋太平洋王座初防衛「左手首を骨折して右手しか使えなかった」
「ボクシング・WBOアジアパシフィックフェザー級タイトルマッチ」(1日、後楽園ホール) セミファイナルでは、1月にジョゼフ・アンボ=フィリピン=との王座決定戦を制した新WBOアジアパシフィックフェザー級王者・藤田健児(30)=帝拳=に、3位のロデックス・ピアラ(29)=フィリピン=が挑戦した。 5ラウンドに2度、ピアラの右を被弾する場面もあった藤田だが、ボディーを効果的に使い試合をリード。しかし、8ラウンドに左手首を骨折した後は右手一本のファイトを余儀なくされる。終盤はピアラに盛り返されたが、そこまでの貯金がモノを言って3-0の判定勝ち。ジャッジ1人は1ポイント差だった。 まず試合内容を陳謝した藤田が「8ラウンドで左手首を骨折して、右手しか使えなかった」と打ち明けると、客席はどよめいた。 藤田は「チャンピオンになったということで責任感を持たなきゃっていうことで、今日は最初から力が入り過ぎちゃった」と反省。独特のファイトスタイルで健闘したピアラを「今までの選手に比べてクレバーで油断できない部分があり、何度かいいパンチをもらってしまった。そこは修正点です」とたたえ、「毎度、次は進化した姿を見せると言うんですけど、より今日は身に染みて感じたので、次こそは進化した姿を見せます」と誓った。 メインイベントでは、2月に鯉渕健=横浜光=との王座決定戦を制した王者・坂晃典(32)=仲里=に2位の波田大和(27)=帝拳=が挑戦した。 波田は2015年デビューで、キャリア9年で初のタイトル挑戦。23勝20KOの坂と14勝13KOの波田という強打者対決となったが、「プレッシャーをかけられながらというのはあったけど、自分のパンチが当たってるのが自信になって前に行けたのかな」と振り返ったように、1ラウンドからヒット数で坂をリードする。 3ラウンド、「ゴツッ」という手応えがあったという波田の右フックでバランスを崩させると、追い打ちの左ストレートでコーナーまで吹っ飛ばしてスタンディングダウンを奪取。「ふらついた。足に来ている。いける」と攻め手を緩めずにラッシュして、レフェリーストップを呼び込んだ。 波田は「ホントにホントにすっごくめっちゃうれしいです!うまくできないけど、すごくヘタクソだけど、一生懸命一生懸命素直にやってきたのが形になったと思う」と大喜び。おじで大相撲の元小結旭道山の和泰さん、父で大相撲行司の木村寿之介ら約400人の大応援団に「ホントにホントにめちゃくちゃありがとうございました!」と感謝していた。 日本フェザー級12位の嶋田淳也(26)=帝拳=と14位の廣瀬祐也(25)=協栄=との8回戦は接戦となり、判定1-1で引き分けた。 東日本新人王予選は2試合が行われた。ウエルター級は金子佳樹(25)=金子=が11年ぶりの復帰となった近内拓也(35)=世田谷オークラ=に2回2分40秒、右ストレートでTKO勝ち。デビューから3連続KO勝ちとした。スーパーバンタム級は八谷洋平(35)=RK蒲田=が菅谷翔太(22)=KG大和=から1、2ラウンドに左フックでダウンを奪い、判定3-0で勝利した。