埼玉県蕨市「ここはヤクザアパートではありません」...所有者逮捕でも現地調査で見えてきた「健全アパート」としての一面
数年前にカタギになった住民の声
数年前にカタギになり、現在は個人事業主として生計を立てているアパートの2階に住む男性も同様の意見を口にする。 「ヤクザアパート? いやいや、ここにはそんな噂ありませんよ。トラブルとか、変な人間がいるとかも聞いたことがない。ただ、僕も入れ墨入っているでしょ? 稲垣さんは不動産会社を経由せずに個人で契約してくれるから、たまたまそういった人がいたということはあると思いますよ」 男性は、稲垣容疑者に恩義を感じているという。 「僕はコロナで色々あって、前に住んでいた部屋を解約せざるを得なくなった頃、知人から稲垣さんを紹介されました。稲垣さんから『部屋は空いているから、前家賃なしですぐに入っていいよ。家賃はきちんと払ってね』と言われて入居させてもらった経緯があります。本当に助かりました。 ここを紹介してくれた知人は、稲垣さんのことを昭和にいた世話焼きおばちゃんと評してました。法律違反だけど、そういった性格だから今回の事件を起こしてしまったんじゃないですか」
「家賃収入欲しさに、反社でもアパートに入れる」…“銭ゲバ”だけではない容疑者の一面
前回記事『埼玉・蕨の「ヤクザアパート」の大家が逮捕…近隣住民が明かす「ヤバすぎる実態」と長女が語った「母の過去」』では、近隣住民が稲垣容疑者に対して「家賃収入欲しさに、反社でもアパートに入れる」という共通認識を持っていたと報じた。 だが、稲垣容疑者には“銭ゲバ”だけではない一面もあったという。JR蕨駅から徒歩20分の住宅街に佇む、容疑者が所有するアパートの住民男性(70代)が語る。 「ここはもともと、蕨市の地主が持っていたアパートなんだけど、5年くらい前に稲垣さんが工事業者と不動産会社の人と突然現れて、2ヵ月くらいかかる大規模なリフォームを始めたんだ。当時なかった風呂とエアコンを付けて、部屋も綺麗にした。 稲垣さんが来る前はウチともう1室しか入っていなかったけど、リフォームをして募集をかけたらあっという間に6室すべてが埋まったから『たいしたものだな』と感心したのをよく覚えているよ。 ウチは風呂の取り付けは断って、エアコンだけ入れてもらったんだけど、それで嫌な顔をされたりはしていない。家賃の大幅な値上げもなく、5年間住ませてもらっている。光熱費も水道代も使い放題で固定額を払うという契約だから、不満は全くない」 同アパートに住む別の男性(40代)も、稲垣容疑者を「優しい人」と評する。 「普通、家賃収入だけを考えると若い人に入ってもらったほうがいいですよね。ここには老人も住んでいて、不良っぽい人は見たことがないです。報道を見て思ったのは、稲垣さんはヤクザから社会的弱者まで平等に救っていたんじゃないかということです。 部屋は2Kで比較的綺麗ですし、住民のためにしっかりと管理してくれている印象で快適に住まわせてもらっています。ちなみに、ここは『ヤクザアパート』なんかじゃないですよ。たまたま、事件現場がそうだっただけじゃないかな。だって、1年半くらい住んでいてトラブルなんて一度も聞いたことがないですから」 やはり、「ヤクザアパート」は覚醒剤密輸の事件現場となった一部だけだったのだろうか。しかし、アパートの近隣住民に話を聞くと、180度異なる意見が返ってきた――。 つづく後編記事『部屋をノックすると「警察か?」との反応が…埼玉県蕨市にある「ヤクザアパート」…近隣住民からの「最悪の評判」』では、アパートの近隣住民が憤る、稲垣容疑者とアパートの住民の素行について紹介する。
週刊現代(講談社)
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