海自ヘリ2機墜落「高難度夜間ヘリ訓練」の背景 潜水艦探知で異常接近・衝突か 周辺を〝潜水艦大国〟囲まれた日本の事情
伊豆諸島の鳥島東方海域で計8人が乗った海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が墜落、1人が死亡した事故で、海自と海上保安庁は22日、行方不明となっている7人の捜索を続けた。2機は潜水艦を探知する夜間訓練を実施中に異常接近、衝突した可能性が高い。自衛隊が対潜水艦訓練を強化している背景には、東シナ海や南シナ海で海洋進出を図る中国などの存在がある。 SH60K哨戒ヘリは、機体からつり下げたソナーを海中に投入し、音波を出して潜水艦の位置を探る。護衛艦と連携して複数機を展開させるのが一般的だ。近接したヘリは互いに目視で位置を確認するが、夜間は機体に取り付けられたライトでしか判別できず、見えにくくなるという。 各国の軍事力を分析するグローバル・ファイアパワーによると、2024年の潜水艦保有数でトップはロシアの65隻、2位は米国の64隻だが、3位の中国は61隻と米国に迫り、4位の北朝鮮も35隻を保有する。日本は5位で23隻だが、周辺を〝潜水艦大国〟に囲まれている。 海自と米国、オーストラリア、フィリピン軍は7日、南シナ海で初の本格的な海上演習を、11、12日には海自と米国、韓国の両海軍が東シナ海で共同訓練を実施した。いずれも対潜水艦の訓練が行われ、中国などを牽制(けんせい)する狙いだった。 海自ではこれまでに同型機の事故が夜間に2度起きた。複数機が展開する場合、高度差を指示するなど再発防止策を打ち出したが、それでも3度目の事故は起きた。原因究明とともに、改めて再発防止策を講じた上での訓練再開が求められる。