「土坑は粘土採掘坑」 斎尾廃寺跡で現地説明会
琴浦町は14日、山陰唯一の特別史跡「斎尾廃寺跡」(同町槻下)で行っている発掘調査の現地説明会を開いた。本年度の調査で、30年前には見つかっていたとされる土坑は粘土採掘坑とみられることが紹介され、参加者は千年以上前に創建された同寺の歴史に思いをはせた。 同寺の創建時期は7世紀後半とされており、1952年に特別史跡に指定された。町はこれまでにも発掘調査を実施しており、鉄を溶かすために用いられるふいごの羽口や鉄を製錬する際に出る鉄滓(てっさい)、鍛冶炉が見つかっている。 粘土採掘坑は土器や瓦などを作る粘土を採取するために掘られた穴。本年度の調査では、土坑から8世紀後半以降の瓦の特徴を持つ瓦片が出土しており、粘土採掘坑とみられる穴も8世紀以降に使われた可能性が高いが、粘土が何に使われたかは分かっていない。町教委社会教育課の下村嘉輝主任は「町民にとって重要な遺跡。少しずつでも、斎尾廃寺の実態が明らかになれば」と話した。 町は今後の史跡整備に必要となる遺構の現状を確認するため、2021年度から5カ年計画で再調査を実施。その後、これまでの調査結果は報告書にまとめられる。
日本海新聞