米東・指導者紹介 第2部/10止 田中雄大コーチ/川下忍部長 /鳥取
<第91回選抜高校野球大会 センバツ> ◇監督の理想を実現 田中雄大コーチ(35) コーチとして、二つ年上の紙本庸由(のぶゆき)監督が目指す野球を彼らに正確に伝えつつ、自身でもおかしいと気づいたことは指摘する。「(紙本)監督の理想を実現するための『調整役』が自分の役目」と自負する。 米子西高出身で、ポジションは外野。2012年から3年間、同校の監督を務めた経験も。「まだまだ勉強不足、野球をもっともっと知りたい」と謙遜するが、紙本監督からは「マニアですよ」と太鼓判を押される。 心掛けるのは「毎日、選手16人全員を観察して話しかける」こと。どうしたら部員らが力を発揮できるかに腐心する。空き時間があれば県外にも出掛け、専門家に教えを請う。 ナインからは「年が離れた兄のよう」と慕われる。そんな弟たちには「自分にうそをついた練習を絶対にするな」と愛ある叱咤(しった)を送る。【園部仁史】 ◇裏方徹し環境整え 川下忍部長(46) 米子東で2度甲子園を経験した。最初は1989年夏、帝京(東京)相手に代打で出場したがチームは初戦敗退。コーチで臨んだ96年春、釜石南(岩手)から念願の1勝を果たし「あの時のうれしい気持ちをもう一度」と聖地への思いは強い。 部長としてスケジュール調整などセンバツに向け多忙を極める事務作業を一手に担う。どんなに忙しくてもグラウンドに顔を出し、選手の様子を見守るのが日課となっている。 他校を含む監督・コーチ経験は延べ20年あるが、紙本庸由監督の指導方針には一切介入しない。「自分は裏方」と割り切り、年下の監督がやりやすい環境づくりに努めている。 寡黙な印象もあるがベンチから大声で選手を鼓舞する熱い一面も。「甲子園は特別な場所。選手が普段通りプレーできる環境を整えたい」【園部仁史】=第2部おわり