阪神・近本「追い込まれたほうがいいのかな、と思いながら楽しく打席に入ってました」 延長十一回死闘決着V打
(セ・リーグ、中日0-1阪神=延長十一回、8回戦、阪神5勝2敗1分、15日、バンテリンD) 死闘制した!! 阪神は中日に1-0で勝利。延長十一回に近本光司外野手(29)が右前にチーム26イニングぶりの適時打となる決勝打を放った。前日14日の同戦(豊橋)は八回に逆転されて敗れたが、この日はしびれる投手戦のなか、一振りで嫌な空気を払拭。頼れる〝新3番〟が打線を引っ張っていく。 【写真】阪神・近本、自らも驚く超絶美技「ああいう変化になると思ってなかったんで…」 ストライクゾーンを外れたボールにバットが伸びる。捉えた打球が右翼手の前で弾んだ後も、近本は表情を崩さず歓喜のベンチを見つめた。プレーボールから3時間が迫った延長十一回に先制のミッションを完遂。チームに勝ちをもたらす価値ある打席を振り返った。 「これ絶対打たなあかんなと思って、初球すごい空振りをしました。なんとかバットに当てようと思っていたので、追い込まれたほうがいいのかな、と思いながら楽しく打席に入ってました」 ゼロ行進の試合を動かした。この回先頭の森下が左中間へ二塁打を放って出塁。中野は犠打を決められずも二ゴロで走者を進め、1死三塁で近本が打席に入った。 初球のスライダーを豪快に空振ったが「空振りするのはスライダーだけ。(初球が)ボールでよかった。スイングしたから分かったこと」。1球でサイドスローの左腕・斎藤のボールの軌道をつかんだ。追い込まれてからは低めを見逃し、最後はシュートにバットを伸ばしてチーム26イニングぶりの適時打。これで延長戦は今季3勝1敗4分けと、競り合いに負けない虎を象徴する一打になった。 一回に右前打を放ち、3番出場で2試合続けてマルチ安打。最後は1番・森下、2番・中野、3番・近本の〝シン・上位打線〟で点を取り切り、先発した3番が7試合ぶりの打点となる一打で勝利につなげた。岡田監督は「(森下は)最後に一本出たからなあ、もうええわ、森下はそれで」と笑って振り返り、3人の上位打線継続を示唆。将が頭を悩ませた、誰を打たせてもハマらなかった〝3番問題〟も近本の活躍で解決の兆しが見えてきた。 この日も〝日課〟を過ごして試合に臨んだ。フリー打撃をじっと見つめる今岡打撃コーチに近づき、自分が打つ番が来るまで話し込む。「自分から話をしに行ったら、めっちゃ話してくれます」と、打撃ケージに入るぎりぎりまで尽きない会話を連日繰り返す。