【漫画家に聞く】少年が出会ったのは多次元を行き来するお姉さん? 不思議な設定のSF漫画が話題
目には見えない高次元の世界をテーマにしたSF作品は数多く存在し、ロマンを感じさせてくれる。しかし複雑な概念を説明過多にならず、作品として表現していくにはセンスが必要だ。 それを短編漫画として見事にまとめた作品が『僕のことを三次元と呼んでくる多次元お姉さん』。作者は現在『ひとでなしのエチカ』を連載中のピエール手塚さん(@oskdgkmgkkk)だ。会社員と兼業しながらユニークな作品を生み出している彼に、本作を制作した経緯や着想を聞いた。 ――手塚さんは会社員として課長を勤めながら、漫画家をされているとのことですが、今もお変わりはありませんか? ピエール手塚(以下、手塚):そうですね。課長として働きながら、合間に漫画を描いて連載しています。 ――本作の反響は? 手塚:ややこしい話なので内容的に難しいかなと思っていましたが、意外と理解してもらえた様子でよかったです。「理屈はわからないけど話の本筋、感情的な部分はわかって面白かった」という意見もありましたね。 ――着想についても教えてください。 手塚:毎回タイトルを決めて話を考えていくのですが、本作はSNSで話題になっていたトピックから着想を得ました。年上のお姉さんが男の子のことを固有名詞ではなく「少年」と呼ぶ物語です。その両者の立場が変われば違う呼ばれ方になるのか、ということを色々考えていて。 そのなかで最も変なものを題名にしようと。そこで思いついたのが「お姉さんが多次元の存在だったら、人間のことを『三次元』と呼ぶのでは?」という話で、これを採用したんです。下書きなしで描いているので2、3日ほどで描き終えましたね。 ――もともと知られている物語の型を利用した作品でもあるのですね。 手塚:自分のなかの「あるあるネタ」を、どれだけ「ないないネタ」にできるかに挑戦しています。みんなが知っているベタな枠組みの中で、全然知らない話を描けたらと。
小池直也