【民進党代表戦2016】前原誠司氏 街頭演説(9月11日・豊島区)<全文>
民進党代表選(15日投開票)に立候補している蓮舫・代表代行(48)、前原誠司・元外相(54)、玉木雄一郎・国会対策副委員長(47)の3氏が東京・豊島区で11日、最後の街頭演説を行った。代表選は、15日の臨時党開会で投票によって新しい代表を決定する。 【動画】民進党代表選 立候補の3氏が都内で最後の街頭演説 民主党政権時代に外務相を勤めた前原氏は「こういう社会を変えていくには、自民党型の自己責任社会を変えなくていかなきゃいけないんです。」と述べた。
苦しい生活を変えるためには、自民党型の自己責任社会を変えていかなければならない
前原:皆さん、こんにちは。ご紹介いただきました前原と申します。私は今回の代表選挙で自民党に代わる社会像を皆さん方にお示しをしたいと思います。批判だけ聞くのは飽きたでしょう、皆さん。民進党ってどういう社会を目指すのか。それを多くの方々が臨まれてると思う。経済成長のときに自民党のモデルは有効でした。 皆さん、国民負担率という言葉を聞かれたことがおありですか。皆さん方の収入の中から、どれだけ税金と社会保障の保険料で取られるかというのが、これが国民負担率です。さて皆さん、日本の国民負担率はいったいいくらでしょうか。43.4%です。これは先進国の中でも非常に低いんです。皆さん方、低かったらいいというものではありません。ヨーロッパの国々、例えばイタリア、フランス、60%前後です。一番国民負担率が大きい国はルクセンブルクという国。これ、皆さん、国民負担率94%ですよ。皆さん方が働いて、稼いだお金の94%が国に取られる。しかし医療、年金、教育、保育、住宅、全てただ。従って94%取られても、安心できる社会というものがあるから、そういった国民負担率が理解されてるわけです。 翻って日本。バブルが崩壊して以降、この仕組みが実は成り立たなくなっているのを、皆さん方は気付かされていなんです。バブルが崩壊してから、いったい所得がいくら減ったか、皆さん方の平均所得は2割減ってるんです。2割も減ってる。しかも1985年には全労働者に占める非正規雇用の割合はたった16%だった。今は4割ですよ、皆さん。つまりは皆さん方、4割の方が給料が上がらない。そしてボーナスがない。退職金がない。いつ首切られるか分からない。そういう中で全体がどんどん下がり、200万円以下の収入の方が1000万人を超えている。そして、なんと貯蓄ゼロの世帯は、全世帯のうち36.3%になってるんです。 この状況の中で、自己責任だ、国民負担率が低いから、働いて残った分、医療、年金、介護、保育、教育、自分で買えと言っても、買えない方が増えているから、どんどん皆さん方の生活が苦しくなっているんじゃないですか。こういう社会を変えていくのには自民党型の自己責任社会、これを変えていかなきゃいけないんです。 皆さん方の、例えば子供さんを持ちたい、できれば2人以上持ちたい。こういう方々が持てない状況がある。だったら0歳から5歳までの就学前教育・保育は無償化しようじゃありませんか。1.2兆円。大学にいきたい、しかしながら、いけなかった。私の友達もいました。でも皆さん。私が30年前、大学にいってたときの授業料、年間21万6000円。今は60万円超えますよ、国立でさえ。アルバイトをして授業料が稼げるような話じゃなくなってきた。アルバイトをして学校にいけない。そして先ほど蓮舫さんがおっしゃったように、卒業するときには借金だらけ。これが今の現状じゃありませんか。 であれば大学の授業料を国公立並みにただにしようじゃありませんか。1.6兆円。足したら2.8兆円。消費税1%で、全ての子供さんたちに等しく教育を受ける権利が与えられる。皆さん、1%の消費税を子供の教育に充てようじゃありませんか。それで全ての人が教育を受けられる、そんな社会にしようじゃありませんか、皆さん。 でもこれを言うと、お年寄りの方が怒るんです。理由は子育ては終わった。大学にいった子供はもう大人になってる。自分のとこは関係ない。自分に関心があるのは、医療だ、年金だ、介護だ。だったら、そういう方々に対しては介護の充実。そして施設のみならず、一番足りないのはマンパワーです。近くにアウトレットができたら、そちらのほうが給与が高いから、介護士の資格を持ってる人たちが介護に従事しないんですよ。そういう方々に対して給与を上げようじゃないですか。 そういう若い方々、そしてリストラされた方々には職業訓練、お年寄りの方々には安心の老後。全ての方々に対して利益がいくようなオール・フォー・オール。旗の数は私が一番少ないけれども、このオール・フォー・オールという考え方をしっかりやる中で、みんなが応分の負担をし合って、みんなが受益者になって、皆さん方の不安を取り除く社会、自民党の自己責任だった社会から、皆さん方の安心を紡いでいく。そういう分断をなくす社会を、民進党の政権でつくろうじゃありませんか、皆さん。 今、皆さん方が飢えているのは、自民党の物足りないと思っているけれども、明確なビジョンを出せなかった野党に飢えていたんだ。だからわれわれはこの代表選挙で、明確なビジョンを打ち出します。オール・フォー・オール。みんなが支え合い、みんなが受益し合う。そんな社会を、前原誠司を先頭に、ぜひ皆さん方に暮らしていただきますように、心からお願い申し上げて、お訴えといたします。ありがとうございました。 (完)