異例マスク着用握手会 アイドルも新型コロナウイルス対策に苦慮
新型コロナウイルスの感染拡大により、芸能界でも大人数が集まるイベント等の中止や延期が相次いでいる。そんな中、あるアイドルグループの取り組みが一部新聞やワイドショーなどに報じられ注目を集めた。ミスマガジン2018グランプリに輝いた沢口愛華らを擁する「dela」で、名古屋を拠点に活動している。なんと握手会に出席するアイドル、ファン双方がマスク姿でイベントを楽しんでいるという。同グループを運営する名古屋美少女ファクトリーの代表でプロデューサー、中村浩一氏に聞いた。
備蓄したマスクをファンにも配布
中村氏は、「握手会の中止は開催規模にもよると思います」と冷静な判断を心がけていると説明。delaの握手会は一度に一列10人ほどの規模に限定されるとして、「そもそも握手会の考え方なんですがライブだけに絞って握手会を中止にするのは現状、運営的に難しいことではありません。ただ、delaのイベントにきてくださるお客様は教師や市役所の職員をはじめ社会人が多く、普段は仕事のストレスを抱えながら生きていらっしゃる。そんな方々が握手会にきて、『これでまた1週間がんばれるわー』って言ってくださるんですね。それほど楽しみにしている方が多い」と開催理由を説明する。 今回delaは握手会に出席するメンバーにマスク着用を促し(強制ではないがほとんどのメンバーがマスクを着用したという)、参加するファンにもマスク着用をお願いし、マスクを持参できない場合には備蓄したマスクを配布した。 「12月の時点でインフルエンザの流行がはやいということがいわれていて、その時点で200枚のマスクを用意していました。お客様の安全はもちろんですが、親御さんから大事な娘さんをメンバーとして預かっているわけで、毎年インフルエンザは非常に怖いんです」 インフルエンザ対策を整えていたことが、コロナウイルスの騒ぎが起きてからも大きなアドバンテージになったようだ。
消毒液設置数を大幅増
「あとは何と言っても手の消毒ですよね。これまでは握手会の都度1個、消毒液を用意してたんですが、コロナウイルスのことが報じられてからは直後に10軒ほど薬局をまわりまして、メンバーとお客様の間に1つ置けるように、つまり2人で1つの形で開催できるように揃えました」 やはり日々の備えと迅速な対応が大切ということか。 「幸い自らマスクを着用してお越しになるお客様が多くて助かりました。ただ、メンバーの分はあるのですが、そろそろお客様に配布するマスクの在庫はなくなってきたので、これまでもそうだったのですが、これからは一層SNSでマスク着用のお願いを告知したいと思います。今後の開催については、当面このスタイルで続ける考えですが、やはりウイルスの報道を逐一チェックして動向をみながら、その都度考えていきたいと思います」 それにしてもメンバーもファンもマスク姿で握手会とは異例ともいえる光景だが、いまのところファンの反応も良いという。 「『やってくれてありがとう』と非常に好意的で、手の消毒も積極的に協力していただいています。『メンバーの顔が見れないのは残念』という声もありますが、『マスクしながら握手するのもレアだからいいよね』と気持ちを切り替えてくださる方もいます」 危機管理に対する取り組みはアイドルグループも規模や運営の考え方によってさまざまだが、やるからには最善を尽くす以外になく、delaの取り組みも一つの事例として参考になるだろう。 (文・志和浩司)