これから家を買う人が知らないとマズい「耐震」の真実 過去の大地震の被害データを分析してわかること
つまり、木造で家を建てるときは耐震等級3以上のレベルで建てることが日本のような地震大国では必須要件であることがわかる。高齢者の持ち家率が80%を超える日本で、これを全国民が理解して建てるのは難しいかもしれない。それなら、建築基準法の耐震レベルを1.5倍にすべきと私は思う。建築コストがやや高くなることは事実だが、その後の復興予算や追加徴税がいまだにあることから、損得勘定でも十分な理があると考える。
家には最低限求められるものが2つあると私は考えている。それは命も守り、健康を増進することだ。 この2つのために必要なのは、耐震と断熱である。断熱にも断熱等級が1から7まであり、2025年4月以降の新築着工は4以上が義務付けられる。この等級は上がるほど持病の発症率が下がり、健康的になることは証明されている。そして、冬場の寒い家でのヒートショックなどの死因を減らすことも明らかになっている。 こうしたことは、もちろんハウスメーカーや工務店は知っていなければならないし、家の耐震と断熱を重要視する会社は標準仕様においてこれを高水準に達成している。そうなると、圧死のリスクも減り、健康的に快適に過ごすことができる。
■まずは行政に問い合わせてみよう 既存住宅の耐震性能の判断には耐震診断が必要となるが、木造住宅の耐震診断費用は、延床面積が120㎡ほどの木造戸建てで概ね60万~100万円かかる。これの3分の2は補助金が出る。まずは、行政の担当部署に問い合わせてみてはいかがだろうか。 最後に、これまで書いてきたことは、持ち家に限った話である。賃貸は耐震性能も断熱性能も持ち家よりもはるかに劣る。そもそも同じ安全性の土俵にものぼっていないぐらいに考えておいてもらいたい。
沖 有人 :不動産コンサルタント