ヨカヨカも育った南国の若駒育成施設/馬のいるウインズ ー宮崎育成牧場【九州うま旅(7)宮崎編〈下〉】
生産馬や競り市で購買した1歳馬を2歳春のブリーズアップセールまで調教・育成するJRAの育成牧場は全国に2カ所。一つは北海道で生産も行っている日高育成牧場、もう一つが宮崎市の中心部にあるここ宮崎育成牧場だ。この地には1963(昭和38)年まで宮崎県・宮崎市・延岡市による地方競馬が開催された宮崎競馬場があり、現在の宮崎育成牧場へと姿を変えた。 市街地にありながら約30.2ヘクタール(みずほペイペイドーム約4.3個分、東京ドーム約6.5個分)という広大な敷地を有する同牧場は500メートル、1600メートルのダートトラック馬場やウオーキングマシンなどの調教施設のほか、昼夜放牧可能な放牧地や採草地、診療所などを備える。抽せん馬事業開始に伴い1956年から開始された育成事業では、温暖な気候を生かしたカリキュラムでこれまでにGⅠ馬タムロチェリー(2001年阪神ジュベナイルフィリーズ勝ち)やGⅢ北九州記念を勝った熊本産馬ヨカヨカなどを輩出している。 見学については、平時は公園やポニー展示馬房、乗馬展示場までが一般開放エリアとなる。調教施設内へは立ち入れないものの、1600メートルの馬場については乗馬展示場の奥あたりから見ることができる。こちらでは例年11月頃から徐々に調教が行われ、翌春まで続くそうだ。
敷地内の公園施設は23年4月にリニューアル。ポニーや乗馬の展示馬房で馬と触れ合えるほか、馬を模した巨大な滑り台やゲート型のブランコなど珍しい遊具もあり、家族連れで楽しむことができる。 同牧場では定期的に馬車試乗会や体験乗馬など“馬とのふれあいイベント”を実施し、地域交流と馬事普及を図っている。そのほか春秋の育成馬見学会では、育成厩舎地区でデビューに向けて日々鍛錬を重ねている育成馬たちを目の当たりにすることができる。春の見学会のみ、来場者限定で「ドリームサポーターズクラブ」に加入が可能(無料)。当日育成馬の中から好きな牡馬と牝馬を1頭ずつ選び、その馬が来年のダービーまでに中央競馬のレースで優勝した場合、レースの写真パネルが贈られる。 次回の見学会は11月2日、春は25年3~4月を予定している。事前予約不要で直接来場可。入場無料。時間などの詳細は公式サイトなどで確認を。