台湾の大学生「人獣形」とみられる玉器発見 約2700年前のものか
(花蓮、新竹中央社)北部・新竹市の清華大学に通う林嘉楽さんと利恩得さんが1月31日、東部・花蓮県秀林郷の北三桟考古遺跡で人と動物をかたどった装飾品「人獣形玉玦(ぎょっけつ)」とみられる玉器を発見した。約2700年前のものと推定される。 2人は冬休みを利用して花蓮県考古博物館での実習に訪れ、初めて同遺跡で調査に当たっていた。見つかった玉器は高さ2.9センチ、幅1.5センチ、厚さ約0.3センチ。頭の部分は欠損していた。 発見した林さんによると、腰から上の部分が外に露出していた玉器を見つけ、すぐに本で見たことのある人獣形玉玦だと思ったという。貴重な文物の発見について「とてもラッキーだ」とし、今後も理解を深めたいと語った。 同博物館の温孟威館長は同遺跡について、現在でも農作業が行われ、これまでにも多くの玉器が見つかっていたとしながらも、人獣形玉玦の発見は初めてだと話す。考古学の関係者も数十年に一度出会えるかどうかだとし、初めての調査での発見は「宝くじに当たるほどの低確率だ」と語った。 また表面の模様から花蓮で産出された「豊田玉」だと説明。胸元の部分には穴が開いており、貴重なものだったことから欠損後にもネックレスとして使われていたのではないかと推測する。 約3500~2200年前には現在の花蓮市や吉安郷一帯の奇莱平原で生活していた人たちが豊田玉の加工技術を持ち、台湾全土だけでなく、ベトナムやフィリピンなどの人々と交易をしていたとされる。 温氏は、その貴重性から特殊な身分の人しか持つことが許されなかったと語り、台湾全土では約40点、花蓮県内では今回のものを含めて5点見つかっていると話した。今後は博物館で展示するとしている。 (郭宣彣、張祈/編集:齊藤啓介)