DV被害者が相談して気付く“私が間違っているんじゃないんだ”...警察など『DV相談8万件超』過去最多 DV加害者を支援する加害経験者も「人は学び変わることができると信じて」
「子どものいる前でもお構いなしに性的強要」夫の恐怖から解放された今
30代のBさんも支援を受けた1人だ。夫からは性的・経済的DVがあったという。 (Bさん)「子どもたちのいる前でもお構いなしに性的強要されて。夫が気に入るまで昼だろうが夜だろうが嫌々されて。(夫の収入は)趣味に全部回してしまっていて、株やギャンブル、飲みだったりとか」 女性相談員らの支援を受けて、今は夫から離れた場所で子どもたちと暮らしている。 (Bさん)「この机とか掃除機とかは支援してくださって。テレビも支援してくださったものですね。生活する中で必要なものがあったら急にそろえるのが苦しかったりするので、市からの支援で落ち着くまでは貸してくださる制度があって」 支援制度の存在を女性相談員に教えてもらい、夫の恐怖からようやく解放された。 (Bさん)「子どもたちものびのびして自由に生活できているのがすごくよかったなと思いますね。子どもたちの笑顔も増えたと思います。女性相談員さんがもっと頼っていいんだよって、信頼できる場所が増えたので、女性相談員さんは本当に私の中では一番の支えだなと思っています」
自身の加害経験から『DV加害者が変わるための支援』する人も
暴力などで配偶者を支配するDV加害者。彼らが変わるきっかけづくりをする人がいる。DV加害者らの自助団体「GADHA」の代表・中川瑛さん(32)。 取材した日は「DV加害者の会」を開催していた。自身の加害性に気づけるよう、どんなことをしたのかを互いに共有して、変わる努力をしている。 【DV加害者の会でのやり取り】 (参加者)「変われないっていう化け物みたいな扱いじゃなくて、学んで変われるんだっていうことを信じられるようなふうに、もっと広がっていってほしいなと」 (中川さん)「やっぱり人は学び変わることができると僕はすごく信じていて、必ずしも罰されたり脅されたり責められる形で変わるんじゃなくて、むしろ共感を通して変わっていくことができるっていうことを伝えていくことができたらなとすごく思っています」 こう話す中川さんだが、実は妻に対するDV加害の経験がある。 (中川瑛さん)「愚かとか、お前は間違っている、お前はおかしい、俺が正しい。要するに自分の言うことに従え、そっちが間違っているというスタンスでのコミュニケーションですね。怒鳴るようなトーンだったり、机を叩く、脅すような感じ」 妻との関係が悪化し続ける中、自身が過去に両親からの悪意のない加害に苦しめられてきたことに気が付き、妻を傷つけていたことを自覚したという。 今はSNSなどで自身の加害経験を共有して、加害経験がある人とつながることで、変わるきっかけになればと考えている。 中川さんの妻は、ここ数年は穏やかな時間が流れていると話す。 (中川さんの妻)「変わってくれてよかったですね。これって私が頼んでやったわけでもないし、本人が気づいて、努力というか変わろうという行動をした結果、関係が良くなったのは偶然だと思うので。私はそれに対して良かったなという気持ちですね」