「期待する」「期待しない」 日ロ首脳会談に寄せる北方領土元島民の声
終戦から71年経過しましたが、いまだに解決していないのが、不法占拠されたままとなっている北方領土の問題 ── 。12月15日のプーチン大統領来日による日ロ首脳会談で、領土問題進展へ糸口をつけることができるか、注目されています。かつて4島で暮らしていた住民は果たしてこの首脳会談をどのように見ているのか。「証言・北方領土」でインタビューに応じた元島民の声を集めました。
「期待する」「一歩でも二歩でも前進してほしい」
「この機会を必ず実のあるものにしてほしい」と願うのは、歯舞群島多楽島に住んでいた河田弘登志さん(82)=北海道根室市=。「外交ですから、大変難しいものがあることは、もう70年間、重々わかってる」とした上で、近年ないくらい話し合いをしてきた両首脳の「積み重ね」に「期待している」、「これまでも、何かあると期待した。期待が大きければ大きいほど落胆もまた大きい」と苦しい胸のうちを話します。「われわれは明日にでも返ってきてほしいというところを常に考えながら運動している」。「もう一歩でも二歩でも前進させてほしいということを願ってます」。 【証言・北方領土】歯舞群島 多楽島・元島民 河田弘登志さん(1) 両首脳の積み重ねた会談の成果に期待を寄せるのは、水晶島と国後島に暮らしていた佐藤健夫さん(79)=北海道中標津町=も同じです。「これだけ両首脳が何回も、盛り上がって日本も協力しますよっていう中で、何もないっていうことであれば、これからはもう期待できないのではないか」。経済協力や極東開発の報道内容に対し、「内容を見ると、日本は相当金も出さないとならない。それは、領土問題前進したいという、安倍首相の決意が入ってると思う。だから、私は期待する」と話しています。 【証言・北方領土】水晶島と国後島・元島民 佐藤健夫さん(1)
「期待しない」「外交は時間がかかる」
一方「期待してない」と話したのは、池田英造さん(83)=北海道根室市=。「元島民の目から見て、期待薄。だけど、日本全体から見たら、北方領土関係ない。経済交流優先して決まっていけばいい。そのほうが大きいだけに、北方領土って、かすむような感じ」。経済協力の課題と比較し、領土問題の比重が低くなっているとみています。その上で、両首脳には「やろう、って腹はあると思う」、「今は雑音で潰される」、「次期政権に就いたときに、『口開こう』っていう約束してほしい」と両国の政情や世論を見据えて、今回の会談には期待に応えるような結果はまだ出ないと考えます。 【証言・北方領土】国後島・元島民 池田英造さん(1) 同じように「外交は時間がかかる」と話すのが歯舞群島水晶島・元島民、柏原榮さん(85)=北海道根室市=。「領土問題は、話し合ったとしても、半世紀近くはかかる。だけども、そういうことに惑わされることなく、うまく取引、外交進めてほしい。島民の気持ちが実現できるような外交を、国益を中心にしながらやってほしいという願いです」。 【証言・北方領土】歯舞群島 水晶島・元島民 柏原榮さん(1)