『嘘解きレトリック』で新展開の一端を担う 黒羽麻璃央がミュージカルで培った“技”とは
『テニスの王子様』など、黒羽麻璃央がミュージカルで培った“実力”
こうして黒羽に注目せずにいられないのには、ほかにも理由がある。彼は映画やドラマにも数多く出演しているが、やはり“ミュージカル俳優”としての印象が強い存在だ。実際、俳優デビューは2012年のミュージカル『テニスの王子様』だし、その後も『刀剣乱舞』をはじめ、数々のビッグタイトルに出演し続けてきた。ミュージカルファンなら誰もが知っていることだろう。けれども映画やドラマなどの映像領域とミュージカルの領域には大きな溝がある。いくら優れたプレイヤーであっても、広く大衆の目につかなくては、映像領域での活躍にはなかなかつながらないらしい。そうだ、同じくミュージカル『テニスの王子様』で活躍していた味方良介が、はじめて出演したテレビドラマ『教場』(2020年/フジテレビ系)でのパフォーマンスによってその名と力を知らしめたように。 とはいえ、黒羽も多くの映像作品に出演しているし、2023年には主演映画『生きててごめんなさい』が公開され、2024年は主演ドラマ『焼いてるふたり ~交際0日 結婚から恋をはじめよう~』(読売テレビ)が放送された。ミュージカルの世界で培った彼の“技”を、私たちは堪能する機会が増えている。『嘘解きレトリック』への出演も、そのうちのひとつになるのではないだろうか。ミュージカル『るろうに剣心 京都編』(2022年)で黒羽は志々雄真実を演じ、全身を包帯巻きにした状態で観客を魅了した。身体が覆われているからこそ、かえって彼の巧みな声と身体の操作が際立った。あのような“技”に、映画やドラマでもどんどん触れたいのだ。
折田侑駿