堅守を崩さない国見、佐賀龍谷の攻撃を防ぎきりプリンス九州2部昇格へ
12月17日、佐賀県のSAGAサンライズパークで高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ2023プリンスリーグ九州 プレーオフ(参入戦)が開催され、長崎県代表の国見と佐賀県代表の佐賀龍谷が第2試合で対戦。前後半に1点ずつを奪った国見が2-0で勝利し、来年からのプリンスリース九州2部入りを達成した。 【フォトギャラリー】プリンス九州プレーオフ決定戦 立ち上がりから裏を狙う佐賀龍谷に対し、ラインを高く上げてボールを回す国見。佐賀龍谷は高さのある岡本光留をターゲットにボールを入れていくが、国見はキャプテンの平田大耀が空中戦を制して付け入る隙を作らせない。 徐々にボールを動かす国見は、右SB松永大輝のクロスから西山蒔人がヘディングシュート。そのこぼれ球を原田高虎が押し込みゴール。国見の木藤健太監督をして「よくふかさなかった。1年生とは思えないほど落ち着いていた」という原田の一撃で国見がリードを奪うことに成功する。 1点を追う佐賀龍谷は、野口大翔がサイドから再三突破を狙っていくが、攻撃が単発的で国見ゴールを脅かすことができない時間が続く。しかし、先制した国見もボールを保持しながらシュートシーンまで持ち込めず、逆に高い位置からのプレスを繰り返す佐賀龍谷がボールを持ち始めたところで前半を終了。 後半から光安佑斗と投入し、選手の立ち位置を変えてスタートする佐賀龍谷。これにより中盤の密度が増し、セカンドボールを回収する時間を徐々に増やすことに成功するが、その代償で前線の人数が減少したため攻撃面の効果は今一つ。 一方の国見も前線にクサビとなるボールが入らず追加点を奪えなかったものの、66分に中盤でインターセプトした原田がボールを持ち上がり、最後はエース中山葵が押し込み2-0。 岡本を中盤に下げてゲームメイクし、前線に選手を投入して1点を狙いにいく佐賀龍谷は、69分にゴール前で決定機を迎えるが、国見はGK松本優星がワンハンドセーブ。その後も堅守を崩さない国見が佐賀龍谷の攻撃を防ぎきり2-0で試合終了した。 佐賀龍谷は展開に応じて様々な手を打ち、選手たちもそれに対応したが、どれも絶対的な形にならなかったのは反省材料だろう。特に立ち上がりの裏を狙うボールが単調だった点は残念だった。後半から見せた運動量とスキルを前半から出せれば展開は違っていたかもしれない。 対する国見の木藤監督は「(選手権予選決勝で敗れた)長崎総科大附との一戦で相手の高さにやられて、それからそこへの対応というのはやってきたし、子どもたちもそこでやられたのを忘れていなかったんだと思います」と試合を振り返った。 そう語る表情には、敗戦から成長したチームに対する満足感と、左サイドの主力である門崎健一が欠場した中で、代わって出場した原田が活躍したことへの手応えがあった。 選手権出場という大目標こそ逃した国見だが、夏のインターハイベスト4に続き、今年は2部とはいえ2年ぶりの九州プリンスリーグ昇格を達成。卒業する3年生たちは実力を示すとともに、後輩に高いレベルでの挑戦という希望を残すことに成功した。 (文・写真=藤原裕久)