<高校野球>高野連「安全に実施できる」と判断 感染対策を徹底し、ネット中継も検討
新型コロナウイルスの影響で中止された第92回選抜高校野球大会の出場32校を招待する「2020年甲子園高校野球交流試合(仮称)」の開催が10日、決まった。春のセンバツに続き、夏の甲子園も中止になる中、感染予防に最大限の注意を払いながら、高校球児の球音が甲子園に戻ってくる。 【センバツ32校が8月に交流戦】 10日の記者会見で日本高校野球連盟の八田英二会長は「交流試合の決定は日本高野連の挑戦であり、新たな挑戦に向かう球児へのメッセージと受け取ってほしい」と強調した。 日本高野連は5月20日に今夏の全国高校野球選手権を中止した理由に、大会期間が2週間以上の長期に及び、集団での宿泊で感染リスクが高まることに加え、練習不足と長期休校による学業への支障から、約3800校が参加し49代表を選ぶ地方大会の日程確保は困難だとし、全国選手権開幕までに出場校が出そろわない可能性を挙げていた。 今回の交流試合を、中止した全国選手権と同時期の今夏に実施することについて、八田会長は「安全に実施できる環境ができた」と説明する。新型コロナウイルス感染の第2波への懸念は残るが、5月25日に緊急事態宣言が全国で解除され、政府がイベント開催制限の段階的緩和を改定した基本的対処方針に盛り込むなど、徐々にスポーツイベントを開催できる状況になってきた。八田会長は「(夏の甲子園)中止の決断は間違っていなかった。ところが、その後の状況は変わりつつある」と述べ、交流試合実現に動き出した経緯を語った。 一方、欠かせないのが感染予防の徹底だ。関東から西の招待校は、公共交通機関を利用せずに地元から貸し切りバスで来場する方式を取る。航空機や新幹線などを使う北海道、東北のチームには関西到着後にバスを用意。宿泊についても原則最大2泊とし、近隣校は日帰りを検討する。招待する32校のうち、今月30日までに参加の承諾を得られない場合には補欠校を招待する。開催期間中に新型コロナウイルス感染者が出た場合の対応などについては実行委員会で検討していくとし、新たな感染症対策のガイドラインも作成する。 交流試合には、センバツには出場できない1年生も参加できるが、登録メンバーを甲子園大会時の18人から2人多い20人へと拡大した理由について、日本高野連の小倉好正事務局長は「3年生に一人でも多く参加してほしい」と話した。 ただし交流試合は、中止した地方大会に代わり、現在約40都道府県の高野連が開催を計画する独自大会と日程が重なる場合もある。そのため、日本高野連は大会期間を8月10~12、15~17日の6日間とし、雨天順延に備え13、14日は予備日に設定。1日3試合以内に設定し試合日や試合順は、招待校の事情を考慮するとしている。さらには交流試合は公式戦扱いとなるため、地方の独自大会も含め「1週間500球以内」の投球数制限も適用される。九回の時点で同点の場合、引き分けにするかタイブレークを導入するかについては、今後実行委で検討するという。また原則は無観客だが、控え部員や保護者の観戦についてやテレビ、インターネット中継についても検討する。【藤田健志】