衆院島根1区補選、岸田政権の命運握る? 裏金事件など逆風強まる中で「自民王国」は・・・ 4月16日告示28日投開票
投開票まで2カ月となった衆院島根1区補欠選挙(4月16日告示、28日投開票)の行方が東京・永田町で注目を集めている。派閥の政治資金パーティー裏金事件などで自民党への逆風が強まる中、「自民王国」とされた島根での勝敗は岸田文雄首相のかじ取りに大きく影響する。政権幹部は危機感をにじませ、野党は攻勢を強めている。 【表】最近の衆院選島根1区の結果 「候補が新人で、知名度の向上が大きな課題」。自民党の茂木敏充幹事長は26日の記者会見で島根1区の対応を問われ、語気を強めた。「運動量を圧倒的に増やす」とし、党島根県連と連携する方針を示した。 補選は官房長官や衆院議長を歴任した自民党の細田博之氏の死去に伴う。1990年の初当選以来、連続当選11回を数えた。後任として党本部は1月、元中国財務局長の錦織功政氏を公認。同日に投開票される長崎3区、東京15区に比べ、当初は「島根は自民有利」との見方が大勢だった。 ただ、細田氏は晩年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点やセクハラ疑惑が取り沙汰された。加えて裏金事件の「震源」となった安倍派の前会長で負のイメージが強まった。党内には「島根の党組織は強固」(本部ベテラン職員)との見方がある一方、地元国会議員からは「逆風は想像以上だ。簡単な選挙では全くない」との声が上がる。 補選は歴代首相にとって鬼門とされてきた。菅義偉前首相は2021年4月、参院広島選挙区の再選挙と衆参2補選で全敗。求心力をそがれ、総裁選不出馬に追い込まれた。島根1区に関する今月の党の情勢調査で「自民劣勢」の情報も永田町を駆け巡り、首相側近の一人は「一切油断できない」と警戒する。 対する立憲民主党は、元職の亀井亜紀子氏を擁立する。最近2回の選挙では細田氏に敗れた。 同党島根県連の石橋通宏代表代行(参院比例)は裏金事件などを挙げ「島根の課題だけでなく、自民党政治の是非が問われる極めて重要な選挙だ」と強調。党幹部も積極的に選挙区入りする方向だ。ある党幹部は「自民が強い島根で勝てば、政権交代にもつながる」と見据える。 島根1区には共産党新人の村穂江利子氏も立候補を予定している。日本維新の会も擁立に意欲を示している。
中国新聞社