アグレッシブな戦い方でトーナメントを2連続KOで制し、後楽園を沸かせたパヌワット

　2024年4月21日(日)東京・後楽園ホールで開催された『RISE 177』にて、「漢気トーナメント」を2連続KOで制したパヌワット・TGT（タイ/TARGET）が試合後インタビューに答えた。 【写真】決勝戦での凄すぎるハイキック 「とても嬉しいです。言葉に出来ないくらい嬉しくて賞金のパネルを見て胸が熱くなります。大変な試合になると思っていたので勝つことが出来て心から嬉しく思っています」と優勝の喜びを語る。 　決勝戦で岩郷泰成（EX ARES）をKOしたハイキックは「本当のところはパンチでKOしたいと思っていました。1Rで相手の選手が凄く強かったので思うように試合が出来ませんでした。セコンドに『力が入りすぎ』と怒られて、2Rはリラックスしてローキックに行ったところ、相手の手が下がっていたのでハイキックを狙いました」と、狙っていたものではなく咄嗟の判断で出したものだと振り返る。 　岩郷が「パンチのタイミングをずらして打っていた」と感じていたようだと伝え聞くと、「それは意識はしていませんが、僕が生徒さんに教えるのは打つなら100％で打てということです。一番強さが出るタイミングで打てと言ってるので僕もそうやって打っています」と説明。 　決勝の2Rは疲れているように見えたが「疲れはありましたが、耐えられるくらいでした。練習もしてきたし、意識はあったのでまだ大丈夫だったと思います」と、余力はあったという。 　賞金の100万円の使い道を聞かれると「手に出来るとは思っていなかったので、今のところ決めてなくて。奥さんと相談して決めたい。でも絶対に決めていたのは、自転車を漕ぎながら勝つことが出来たら父と母、兄に少しずつシェアしようと考えていました」と、家族のために使いたいとした。 　2人目の子供が生まれたばかりだと言い、「子供が生まれて格闘技をもっと頑張ろうという意識が生まれましたし、賞金は子供のために使いたいと思います」とする。 　最初に日本へトレーナーとして来たのは5～6年前。2019年2月には直樹と対戦しているが、今回の試合とは別人のようだったと聞かれると、パヌワットは「正直に言うと、5年前、僕はまだ未熟でした。練習をしないし、タバコも吸っていたし、若くて未熟だったんです。でも子供が出来て真剣に練習に取り組んで、強くなるために早く寝るようになったし、練習を欠かさないようにしています。規則正しい生活をして生活自体が以前とは変わりました」と、子供が生まれたことによりしっかりしなければという自覚が芽生えたことが大きな違いだと打ち明けた。 　日本での試合は直樹戦と今回の2試合だけだが、「自分を試してみたいと思います。RISEに出ている60kgのみんなを見ていると強くて、あの強い人たちと戦ったらどうなるかやってみたいと考えました。試してみないと分からないので挑戦してみたいと思います」と、今後RISEの60kgで試合をしていきたいと意気込んだ。 　また、「自分を強くするのは弱さや怖れだと思っています。その怖れが僕を強くする。怖いからディフェンス能力も上げられる、強くなることが僕にとっての漢気です」とも話した。 　伊藤隆RISE代表は「RISEルールにアジャストしていた。RISEの選手を教えているので自然と身に付いたのだと思います。やっぱりお金が懸かった時のタイ人は強いなと思いました(笑)」とパヌワットを評した。 　漢気トーナメントの勝者には「賞金とビッグマッチ出場権利、それに加えて強豪外国人との対戦権利を与えたい」と試合前に話していたが「9月の横浜文体でやらせたいですね」と、約束通り強豪外国人との試合を組むつもりだという。 　多くの在日タイ人選手・トレーナーを見てきた伊藤代表から見たパヌワットはと聞かれると「彼は性格がめちゃめちゃいい。応援が多いのがその証拠です。タイ人って日本でグループが出来て良くない方向へ行くことが多いけれど彼にはそれがない。真面目です。お金を持っちゃって変わってしまうかもしれないけれど(笑)。ジムでミットも持ってますし、なおかつ自分の練習もしている。去年タイから帰ってきてから（兵役のため一時帰国）RISEに出たいと言っていて半年くらい開けて様子を見ていたんですが、練習していたので今回出すことにしたんです」と、トレーナーの仕事にも練習にも真面目に取り組んでいると評した。 　外国人エースにもなれるのではないかと聞かれると「育てたいですよね。彼もやりたいと思うので、60kgの外国人エースとしてやってもらおうかと思います」と、RISEの主力選手として育てていきたいと語った。