【世界卓球】トレビアン! フランスの躍進の理由は五輪効果だけではない。兄弟の秘密基地はモンペリエ
◇世界卓球2024(団体戦) 2月16~25日 韓国・釜山 それは2017年9月に始まった。 IOC(国際オリンピック委員会)総会で、2024年のオリンピックがパリで開催されると決定した。どの五輪でも、開催国は各競技でレベルアップするのが常だ。国内での五輪へ向けた機運も高まるし、いわゆるスポーツ庁のようなところからのお金(補助金)が開催決定以後に各競技団体、メダル候補選手たちに注ぎ込まれるからだ。 フランスも例外ではない。 2017年当時はフランスの卓球は低迷期とも言えたが、男子で言えば、シニアになりたてのゴーズィ、そしてまだカデット以下の選手だったルブラン兄弟(現在アレクシス20歳・フェリックス17歳)、女子のパヴァデ(19歳)が強化の対象となり、急激に力をつけている。その若手選手たちが今回、史上初のアベックメダル獲得の中心となった。特にルブラン兄弟のこの1年間の躍進は目を見張るものがある。 今まで、フランスのトップクラスのジュニア、シニアの選手はパリ郊外にあるINSEP(インセップ・国立トレーニングセンター)でナショナルチームとして居住しながら、練習を行うのが常だった。 しかし、コーチのナタナイル・モーリン氏とルブラン兄弟、そして父(ステフェン・ルブラン/元フランス代表選手)はINSEPに行かずに、地元の「モンペリエ」というクラブで練習を続けることを選択した。 日々の練習のテーマは「対応力」と「創造性」。ユニークな練習法で、固定観念にとらわれない卓球スタイルを作り上げていった。弟のフェリックスはヨーロッパではチウ・ダン(ドイツ)に続くように中国式ペンの両面打法を駆使したが、気がつけばあっという間にチウ・ダンを追い抜いて、現在世界ランキング6位と驚異的なスピードで世界の頂点へ近づいている。
兄のアレクシスはジュニア時代から膝に問題を抱えていて、練習できない時期、大会に出られない時期もあったが、ポテンシャルは高い。以前、兄弟とコーチにインタビューした時には、「日本の個人のチームをモデルにしている」と言っていた。つまり、ナショナルチームに依存するのではなく、個人でスポンサーを集め、専任の技術コーチ、フィジカルコーチを作っていく体制を目指していた。