韓国版「花より男子」から15年...キム・ヒョンジュンが初めて挑んだ日韓合作作品への想い「今まで生きてきて感じたものがこの役の下準備になった」
韓国版「花より男子~Boys Over Flowers」(2009年)や「イタズラなKISS~Playful Kiss」(2010年)で俳優としてもブレイクし、日本でも高い人気を誇るキム・ヒョンジュンが、日本語の演技に初めて挑んだ日韓合作ドラマ「彼女のいない時間」。 【写真を見る】撮影では次々にポージングを取りながら多彩な表情を見せてくれたキム・ヒョンジュン 10月14日に開催されたスペシャル先行試写会では、藤岡弘、一家の次女としても注目を集める相手役の新進女優・天翔天音と登場し、全国から駆け付けた多くのファンとの交流が注目を集めたばかり。来日中の多忙なスケジュールを縫って行われた今回のインタビューでは、今作への想いや撮影秘話はもちろん、精力的なアーティスト活動についても聞いた。 ――初挑戦となった日本作品。まず、出演の決め手を教えてください。 「日本で『Eye Love You』(2024年)というドラマが注目されて以降、日韓が協力して作る映像作品が増えているなと感じていました。ある意味、ちょっとブームのようになっているのかなと。そういった流行というのは往々にしていつか終わりが来るものなので、その日が来る前に、機会を頂けたのであれば自分もやってみたいと思いました。ただ、実際に撮影をして思ったのは、日本と韓国が一緒に制作するこのような作品は、ブームで終わらず、今後は一つのジャンルのようになっていくのではないかなと。ドラマだけでなく、映画やミュージカルといった分野でも様々な試みが行われていくのではないかと僕も期待しています」 ――今回演じたのは、日本人妻と死別し、ショックで記憶を失った主人公チャ・ウンテ。役作りはいかがでしたか? 「ウンテは、自分のせいで愛する人を亡くしてしまったという自責の念と喪失感を抱く男性です。そんな彼の心情をできるだけ表現したいと思い、事前にできるだけの努力をしました。例えば、単に悲しいことを思い巡らすだけではなく実際に大切な人を亡くした人に話を聞かせて頂いたり、葬儀場を訪れて残された方々の悲しみに寄り添ってみたり。僕自身も身近な人との別れを経験したことがあるので、当時の想いを胸の中から取り出して、ウンテという人物に投影していきました。今まで生きてきて感じた色んなものが、この役になるための下準備になった気がします」 ――ウンテが記憶を取り戻すきっかけとして"フィルムカメラ"も重要なアイテムとして劇中に登場します。日本語のシーンも多々ありますが、今回の役作りで苦労したことはありましたか? 「日本語のセリフは思ったほど難しくなかったと思います。というのも、今まで日本で長く活動をしてきて、日本語にもたくさん触れてきたので、それが役に立ったのだろうなと。日本語に接すること自体が初めてだったらかなり大変だったと思います。もちろん最初は、台本をしっかり読んで覚えて...というところから始めたんですけど。発音が少し違っていても、韓国男性と日本女性が出会ってそこから日本語が身に付いていく...という劇中の設定を考えると、むしろ良かったのかなと思います」 ――印象に残った日本語のセリフはありますか? 「色々ありますが、僕は今まで"帰る"という日本語の単語なら知っていましたが、それが本作で"取り戻したい"という言い方になっていて、詩的な表現だなと。日常では使わないような綺麗な表現も知ることができて感銘を受けました」 ――ウンテが旅先で出会う謎の少女を演じた天翔天音さんとの共演はいかがでしたか? 「最初にお会いした時、彼女は制服姿だったんです。かなり若い方と演技をするということで、どのようにウンテの悲しい感情を表現しようかと初めは少し思ったのですが、彼女がしっかりと事前の準備をして臨んでくれたんです。あれだけ若いのに、別れの感情というものを研究したり把握したりしてきてくれたおかげで、僕も本当に演技がしやすかった。ウンテとして、ただそこにいれば良かった...という感覚ですね」 ――続いてアーティストとしての音楽活動について聞かせて下さい。4年ぶりに発売したフルアルバム「Love Universe」の反響はいかがですか? 「そのアルバムを引っ提げた日本での音楽活動ができておらず、今はまだ直接的な反応を目にしていません。ファンの皆さんには申し訳なく、残念だなという風にも思っています。また新曲を出して、それを持って日本で活動できる機会が作れると嬉しいです。頑張りますので待っていて下さい!」 ――7月に東京で開催したコンサート「THE LAST DANCE」の手応えはいかがでしたか? 「"THE LAST DANCE"と銘打った、僕がダンスをお見せする最後のコンサートです。11月9日(土)・10日(土)に大阪での追加公演が決定していて、それが日本での"ラストダンス"になる予定です。ファンの皆さんは残念がって下さっていますが、ダンスは一生続けられるものではないですし、"上手にできる今で最後にして、いい思い出として残しておきたい"という想いが僕の中にあるんです。ずっと続けているバンドの音楽のほうでも、十分に皆さんを感動させたり納得させられると思っているので、あまり寂しく感じないで下さい(笑)」 ――長く活動を続けてきたからこその前向きな"卒業"ですね。 「色んなことがあって、僕は今もこうしてステージに立てていて。本当に恵まれているなと思います。ずっとそばにいて下さったファンの皆さんのために、これからも演技を続けていきたいし、いい音楽も届けていきたい。ファンの皆さんがずっと僕を守ってきてくれましたが、今は僕が皆さんを守る、そういう年齢にもなってきているのかなと思います」 取材・文=川倉由起子 撮影=押木良輔
HOMINIS