香港の法治に「重大な危機」-最高裁の裁判官辞めたサンプション氏
(ブルームバーグ): 香港の最高裁判所に相当する終審法院の非常任裁判官を先週辞めた英国籍のジョナサン・サンプション氏は、中国による民主派締め付けを強く批判し、香港の法治に「重大な危機」が迫っていると警告した。
同氏は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に10日寄稿し、「かつては活気に満ち、政治的に多様なコミュニティーであった香港は、徐々に全体主義的な国家になりつつある」と論じ、「法の支配は、政府が強く関与するいかなる分野においても深く損なわれている」と主張した。
香港がグローバル企業を呼び込む上で鍵となるのが司法制度だが、外国籍裁判官の相次ぐ離職は、司法制度そのものに対する信頼を失墜させる恐れがある。
香港政府は11日の声明で、サンプション氏のコメントに「強い異議」を唱え、香港の裁判所が中国から圧力を受けているという指摘は「全くの誤り」だと反論した。
中国共産党の習近平指導部は、2019年に香港を揺るがした大規模な民主化デモをきっかけに香港に対する統制を強化。中国が民主派を抑えるため香港国家安全維持法(国安法)を20年に導入すると、辞任もしくは任期を更新しない外国籍の裁判官が相次いだ。
サンプション氏に加え、ローレンス・コリンズ氏も終審法院の非常任裁判官を先週辞任。コリンズ氏は辞意表明後、「政治情勢」に言及した。
原題:UK Judge Warns Hong Kong Rule of Law ‘Profoundly Compromised’ (抜粋)
--取材協力:Laura Dhillon Kane.
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Jacob Gu