鶴、2024年初ライブでソウルメイトにワイワイと元気の恩返し【ライブレポート】
3ピースバンド・鶴が、2024年1月7日(日) ヒューリックホール東京にて、全国ツアー「結成20周年記念TOUR 鶴の野恩返し返し -みんなにワイワイをお返ししに行く会-」の東京公演としてワンマンライブを開催。持ち前の明るさとソウルフルな歌と演奏で集まった観客に元気を与えて、5年ぶり開催の「鶴フェス2024」へ向けて動き始めた。 【全ての写真】鶴の結成20周年記念ツアー東京公演(全22枚) このライブは、2023年11月3日(金・祝) 宮城県・仙台LIVE HOUSE enn 2ndを皮切りにスタートした全15公演の全国ツアー「結成20周年記念TOUR 鶴の野恩返し返し -みんなにワイワイをお返ししに行く会-」の9本目となる東京公演。2020年6月に同会場で開催されるはずだった「普通じゃないアルバムツアー2020」東京公演がコロナ禍で開催中止となってから約4年を経て行われる待望のライブだ。また、新年の初ライブであり、さらに鶴にとって初めてのホール会場でのワンマンライブとなる。会場ロビーでは昨年行われた日比谷野音ライブの映像が流れており、多くのファンが見入っていた。 登場SEのジャクソン5「I want you back」と共に秋野温(Vo≫)、神田雄一朗(Ba&Cho)、笠井“どん”快樹(Ds&Cho)がステージに登場すると、「こんばんは、ソウルメイト! 明けましておめでとうございます。今年も愛と魂燃やして、ワイワイしようぜ!」と秋野の第一声から、「低気圧ボーイ」でライブがスタートした。 総立ちの観客を嵐のごとく怒涛の演奏で煽って行く3人。ステージ上には、「20th TSURU」のロゴを描いた巨大なバックドロップが威風堂々と掲げられている。 続く「マジカルロックミュージック」では、間奏で神田が「ソウルメイト今夜」のイントロを思わせるフレーズを、秋野も同曲のメロディを弾くセルフオマージュを聴かせて、集まった“ソウルメイト”(鶴ファンの総称)の気分を盛り上げる。ライブ序盤のお約束、「こんばんは鶴です」が始まると、両手で鶴ポーズを取ってコール&レスポンスに応える観客たち。 難易度高めな“鶴の野恩返し返し”コール、「ヒューリック!」「ホール!」から、この日はジャンプNGということで下にしゃがんでスクワットしてみたり足をつけて上に伸びたりと、正月でなまった身体が目覚めるエクササイズ的なコーナーとなった。 お正月の定番BGM「春の海」をバックに、「我々が結成21年目に突入した、鶴です! 4年前にコロナで出来なくなってしまったヒューリックホールでのライブが今日、実現しています! 今年もワイワイと進んで行こうよという気持ちを持って歌っていくからよろしくね!」(秋野)と新年の抱負を語ると、「その一歩」「足跡」と21年の歩みを連想させる曲が続く。 「ニューカマー」では、持ち前のコーラスワークを駆使して楽しませた。 「鶴の20年を語る上で節目になった大事な曲。これでまたひとつ色んな人に聴いてもらえるようになったかなという曲です」と紹介されたのは、「桜」。 ステージが桜色に染まり、伸びやかに広がって行く歌声と力強い演奏に誰もがじっと耳を傾けていた。 歌い終え、最後のギターの一音が消える余韻を待って大きな拍手が沸き起こる名演だった。 メンバー紹介をしてからのMCでは、ツアーで唯一のホールであるヒューリックホールについて「もともと映画館だったということで、音が飛んで行く感じが普通のホールと違う」(秋野)、会場がある有楽町は「車を降りて歩いてきたらずっと香水の匂いがした」(神田)と、それぞれ感じたことをトーク。 笠井はこの日のため年末年始にスタジオに入ろうとしたものの、休みで営業していなかったためドラムを叩けないフラストレーションを餅を食べることで解消した模様。 しばし鶴らしいトークでワイワイした後、秋野が「今年も鶴は元気です!」と高らかに宣言してライブが再開した。 4周目の47都道府県ツアーから生まれたミニアルバム『4-4』収録の「ニューワールド」は、爽快なサビメロと疾走する演奏が鶴らしい1曲。 「さあ踊ろうぜー!」と秋野が叫ぶと、神田のスラップ奏法が炸裂して、笠井がディスコビートを叩き出し、秋野がワウギターで呼応するセッションから、ライブアンセム「踊れないtoフィーバー」が飛び出した。 ミラーボールが回る中、合唱しながら手を上げて場内は大盛り上がりとなった。 対照的にマイナー調の旋律で張り詰めた空気感の「ペインキラー」を歌い終えると、MCでは秋野が元日から起きている震災に触れる。 「もしかしたら、今日来ることができなかった人もいるかもしれない」と気遣いながら、「こういうことが起こると、“自分には何ができるかな”って考えることが増えるんだけど、ひとまず、元気な人は引き続き元気よく。俺たちも元気にやるから。また今後いろんな状況が変わって行って、自分に協力できることが見つかったときには、みんなで協力して支援したらよいと思っています」と気持ちを明かして、あたたかい拍手が送られた。 また、「気持ちの面で支えられるような、そんな思いも持って、5年ぶりに『鶴フェス』を開催します。今回は10月5日6日の2daysです。『鶴フェス』へ向かう楽しみとか希望みたいなものが、巡り巡って誰かの希望になればいいなと思ってます。まずは『鶴フェス』へ向かって進んで行きましょう! よろしくお願いします」と、開催へ向けて力強いメッセージを送った。 初期ナンバー「ベリオライ」から、「鶴フェス2019」のテーマ曲としてリリースされた「バタフライ」と続いてじっくり聴かせると、ヘヴィなサウンドに乗せてネガティブな感情をポジティブに変換する「結局そういうことでした」では、白熱した演奏の中、秋野が弾く鋭い音のエモーショナルなギターソロに胸を突き刺す。 椅子席のホールということで、「途中で座ってくださいって言おうと思って忘れてた(笑)」と言いつつ、ライブは「歩く this way」で熱い終盤へ。 「今年も一緒に歩いて行こうぜ!」との呼びかけに、コール&レスポンスで応えるお客さんたちは立ちっぱなしでも元気一杯だ。 スケールが大きくポップな「小さくても世界は変わってる」はホールコンサートに良く似合う曲だ。 笠井のドラムに合わせてハンドクラップしてステージと客席がひとつに。 「愛とでも呼ぼうか」では、ゆったりと癒すような曲調が会場を包み込む。 「今年も鶴の音があなたのここ(心)に入り込んで、ナイスな1年を迎えさせてあげられたら、それだけで音楽をやる意味があると思って鳴らしています。それだけで、バンドをやる意味があると思って鳴らし続けて20年。やり続ける意味があると思って鳴らしてる。ここにいるみんなは、絶対今年良い年になる!」とのMCから「ソウルメイト今夜」のサビの一節を物凄いロングブレスで歌い上げた秋野に会場は大喝采に包まれた。 「さあ今年も楽しんで行こう!俺たちの歌、「ソウルメイト今夜」!」と、神田が弾くキャッチーなベースのイントロが始まると、ステージが煌々と照らされて、この日一番の大合唱とコール&レスポンスで興奮の坩堝となった。 「ソウルメイト今年は」と歌詞をもじって歌うなど、新年初ライブらしさも盛り込みつつ、最後はバンドと観客が「We are ソウルメイト」と大きく声を合わせた。 アンコールでは、ツアーTシャツ姿となった3人が登場して演奏が始まるかと思いきや、神田がなかなかベースを肩にかけない焦らしタイムが発生。新年1回目のライブにしてホールワンマンということで、できれば終わりたくなかったようだ。 無事セッティングすると、アカペラで歌い出した「お揃いのシャツを着て」「デュ、デュワ~」に客席からもハーモニーが加わって、「愛しのハニー」へ突入。 派手でポップなロックンロールで賑やかに盛り上がった。 「また全国津々浦々いろんなところでワイワイしようね!ライブハウスでも待ってるよ!」と秋野がひと言かけて、最後に披露されたのはミニアルバム『4-2』からの「源」。文字通り、バンドが走り続けるエネルギー源を歌い上げた。 エンディングでは、3人で手を繋いで客席に一礼すると記念撮影を実施。 BGMに「ソウルメイト今夜」が流れる中、秋野が自分のソロに合わせて“口ギターソロ”を披露して、「ありがとう! また会いましょう! 鶴でした!」と、今年初のライブは終了となった。 その名の通り、まさに新年の幕あけに相応しく賑々しいステージを見せた鶴。 5年振り、2days開催となる「鶴フェス2024」へ向けての活動に期待が高まるライブだった。 <公演情報> 「結成20周年記念TOUR 鶴の野恩返し返し -みんなにワイワイをお返ししに行く会-」 2024年1月7日(日) 東京都・ ヒューリックホール東京 【セットリスト】 01. 低気圧ボーイ 02. マジカルロックミュージック こ.んばんは鶴です 03. その一歩 04. 足跡 05. ニューカマー 06. 桜 07. beautiful days 08. ニューワールド 09. 踊れないtoフィーバー 10. ペインキラー 11. ベリオライ 12. バタフライ 13. 結局そういうことでした 14. 歩く this way 15. 小さくても世界は変わってる 16. 愛とでも呼ぼうか 17. ソウルメイト今夜 E1. 愛しのハニー E2. 源 <ライブ情報> 「鶴フェス2024」 2024年10月5日(土)・6日(日) 埼玉県鶴ヶ島運動公園 ※時間・出演者:後日発表