65歳未満でも受給できる「障害年金」を利用して がん治療の経済的な不安と負担を軽減してくれる
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は2人に1人。5人に1人ががんで亡くなる「国民病」と言われながら、その社会保障についてはほとんど知られていません。がんと診断されて1年6カ月が経過し、諸条件をクリアすれば65歳未満でも年金が受給できます。この「障害年金」について、抗がん剤治療のパイオニアで、腫瘍内科医の勝俣範之氏が解説。『あなたと家族を守る がんと診断されたら最初に読む本』から一部抜粋・再構成してお届けします。 【漫画】無神経すぎる人に「ちょっとだけ」言い返す技術
■副作用などで生活や仕事が制限されるなら障害年金を 治療費を副作用の1つとする見方もあるくらい、最近のがん治療はお金がかかるのも事実です。そんな中、がんの治療を続けながら働くことは困難と考える人が53.5%に上るという世論調査の結果が2023年10月、内閣府から発表されました。 実際に、がんになると約4割が仕事を辞めています。中には職場に理解がないために解雇された人もいますが、自ら退職することはお勧めしません。
治療と仕事を両立させて、がんで通院しながら仕事を続けている人は約45万人。確実に増えてきています。 がんのための平均入院日数は、手術の場合でも2週間程度です。 公的な支援制度なども上手に利用すれば、仕事と治療の両立もできるようになってきています。 特に、ぜひ知っていただきたいのが「障害年金」です。 がんの専門医でもご存じない方がまだまだ多い制度ですが、がんの病状の進行や治療などによって、心身に障害が出たり、日常生活や仕事が制限を受けたりするような状況になったら、受給が可能です。
そもそも、年金制度は働いて収入を得ることが難しくなったときの所得保障です。だから高齢者だけのものではありません。がんによる機能障害や、全身の衰弱、抗がん剤の副作用などで生活や仕事が制限される場合には所得保障として年金を受給することができます。 ■初診日から1年6カ月経過していたらぜひ確認を しかも、障害年金は老齢年金や遺族年金と並ぶ公的な年金制度のひとつで、初診日から1年6カ月以上経過し、直近1年間に年金保険料の未納がないなどの納付要件を満たせば、65歳未満の現役世代でも受給することができます。