【西島秀俊さんインタビュー】手を差し伸べてくれた人がいたから今の僕があると思う
LEE Special Interview:かけがえのない「刻(とき)」を重ねて
渋い表情もやさしい笑顔も、すべてが素敵な西島秀俊さん。3月には「東洋の時計王」と呼ばれた服部金太郎氏の生涯を描いたドラマに主演します。ドラマの魅力や、作品にかける意気込みをお聞きしました。 Profile 1971年、東京都生まれ。’94年『居酒屋ゆうれい』で映画初出演。以降、硬派な作品からコメディまで幅広いジャンルの映画やドラマに出演。ドラマ『MOZU』シリーズ、『きのう何食べた?』シリーズなど代表作多数。映画『ドライブ・マイ・カー』(’21年)では、全米映画批評家協会賞でアジア人初の主演男優賞を受賞した。
「おもしろいじゃん、やってみれば」と、手を差し伸べてくれた人がいたから今の僕があると思う──Hidetoshi Nishijima
▶人と人が出会うことで生じる、ダイナミズムを表現したかった 日本を代表する時計メーカーの創業者・服部金太郎の生涯を描いたドラマ『黄金の刻~服部金太郎物語~』で主役を務めた西島秀俊さん。抜群の経営センスと人を見抜く力で、小さな服部時計店を世界的な企業へと成長させていく金太郎を力強く表現しています。 「丁稚奉公だった金太郎が、明治・大正・昭和という激動の時代を仲間とともに乗り越え、事業を成功させていく。トラブルに巻き込まれてもマイナスをプラスに変えていく金太郎からは、僕も明日へのエネルギーをもらいました。また、金太郎は人が一番の財産だと考えていて、個性豊かで才能あふれる職人を育ててきました。人と人が出会うことで、より大きな力になっていくダイナミズムが表現できていればうれしいですね」 金太郎の妻・まんと、初恋の人・浪子を巡る恋模様も、今作の見どころのひとつ。 「まんは金太郎にとって“同志”のような存在。13人もの子どもを育てながら、金太郎や従業員のことを支え、励まし続けたんですね。一方、浪子さんとは若い頃に『世界で一番の時計商になったときは、また再会しよう』という約束を交わしていて、その約束が金太郎を成功へと導いてきた。二人とも金太郎には欠かせない存在です」 それにしても金太郎の古希の祝いの席に浪子を招待する、まんの度量の大きさには驚かされます。 「まん役の松嶋菜々子さんと話したとき、金太郎とまんは、何十年も連れ添ってきて何にも揺るがないという自信があるから、浪子を呼べたんだろうと。むしろまんは浪子に感謝しているんじゃないかとおっしゃっていて。パートナーを大きく包み込むまんの包容力にあらためて感心しましたし、松嶋さんの大きさも感じましたね」