「麻布台ヒルズ」レジデンス分譲価格は異次元の300億円?!一般的なマンション購入との違いは
2023年11月24日、東京・港区の新たなランドマークとして誕生した「麻布台ヒルズ」。コンセプトは“緑に包まれ、人と人をつなぐ広場のような街”。約8.1haの広大な敷地内には、オフィスや住宅、ホテル、教育施設、商業施設などが建ち並ぶ。 中でも話題なのが、約330mと日本一の高さを誇る高級住宅「アマンレジデンス東京」などの住宅だ。販売価格は明かされていないが、おそらく20億円~、最上階にいたっては300億円ともいわれている。 富裕層向けにクローズド販売されているとのことで、一般人が購入することは叶わないが、もし購入できるとすれば、通常のマンションを購入するのと異なる点はあるのだろうか。不動産鑑定士の資格を持つ冨田 建税理士に聞いた。 ●信用や資力だけでなく、社会的地位も重視される 不動産鑑定士としての立場から述べるとしても、マンションに限らず通常のビル等を含め、百億円超もの高額の鑑定評価額の不動産鑑定をするのは稀です。 ましてや、いくら東京都港区であってもずば抜けて高額な区分マンションですから、通常の区分マンションを購入する際の住宅ローンの基準や信用という概念は当てはまらないのではないでしょうか。 むしろ、個人的な想像ですが、これだけ高額なマンションですから、仮に購入資金が十分にあったとしても、人物的に問題がある場合、あとで他の購入者から苦情が来かねません。ですので、分譲する側も、購入者の社会的地位や信用、資力をかなり重視するとは思います。 また銀行側にとっては、融資をするにしても担保評価が難しいでしょう。「将来、購入者である借入をした人が、万が一返済不能になり売却することになっても、極端に高額な区分マンションの特殊性ゆえ、購入額に近い価格で売却できる保証がない」のが、融資をする際のリスクになるわけです。 よって、余程の大富豪か法人が自己資金で購入するか、一部を借入するとしても、貸付側から見て安全な額に限られる要素はあると思います。 一方で、巨額の資金を払ってもそこに価値を見出す使い方ができる人も限定されます。従って、当然といえば当然ですが、十分な自己資金があり、20億円以上の区分マンションを購入することに意義を認める人に購入者は限定されると思います。 ●購入した場合は、どんな税金がかかる? ーーもし20億円の区分マンションを購入した場合、どのような税金がかかるのでしょうか。 売却ではなく購入ですので所得税等は生じませんが、「不動産取得税」と「登録免許税」は生じます。これらは基本的には、「土地の固定資産税評価額」に一定の税率等を考慮して算定します。 ただし、それぞれの区分の権利割合によって、その区分所有者の固定資産税評価額も異なりますので、具体的な税額となると明言は難しいです。 ちなみに、実際の分譲価格が20億円であったとしても、固定資産税評価額はまったく別の目線で算定しますので、分譲価格は直接的には固定資産税評価額や不動産取得税・登録免許税には連動しません。 もちろん、購入してからも毎年の固定資産税・都市計画税は生じます。 ●麻布台ヒルズ周辺の資産価値はどうなる? ーーこのような超高級マンションが建てられたことにより、麻布台ヒルズ周辺の地価にはどのような影響があるのでしょうか? 私も工事中の現地の前を通ったことがあるのですが、あくまでも区分マンションが建つだけの話ですので、通常のマンションが建っても都内であれば周囲の地価には直接的に影響しないように、超高級マンションが建ったところで周囲の地価にはあまり影響しないのでは…とは思います。 最後に、不動産に関する意思決定は、高額であるといった話に惑わされず、地に足をつけた判断をすることが大切だと思います。 【取材協力税理士】 冨田 建税理士・不動産鑑定士・公認会計士 43都道府県で不動産鑑定業務の傍ら、各種講演・執筆も行う。令和3年に「不動産評価のしくみがわかる本」(同文舘出版)を上梓し増刷。令和5年春には相続税・所得税等を解説する「図解でわかる 土地・建物の税金と評価」(日本実業出版社) を上梓した。 事務所名 : 冨田 建不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務所、冨田会計・不動産鑑定株式会社 事務所URL:https://tomitacparea.com
弁護士ドットコムニュース編集部