日本人の家づくりは間違いだらけ!理想の土地を求めてさまよい続ける「青い鳥現象」の悲劇
---------- 人生でいちばん高価な買い物、マイホームをせっかく建てたのに、「こんなはずじゃなかった」と後悔する人があまりに多いのはなぜなのか? 気鋭の建築家・内山里江氏は言います。 「日本人が家づくりに失敗する最大の理由は、たとえば『家は南向きじゃなきゃダメ』とか『窓は大きいほうがいい』といった『間違った常識』によるものです。私は本書でそうした間違った常識をすべてひっくり返します」 内山氏の最新刊『家は南向きじゃなくていい』から、間違いだらけの家づくりをしないための方法を連載形式でお届けします。 前編記事<家を建てるのに正方形の土地は必要ない! 気鋭の建築家が「日本人の間違った常識」にモノ申す> ---------- 家を建てるのに正方形の土地は必要ない!気鋭の建築家が「日本人の間違った常識」
理想の土地を求めてさまよい続ける「青い鳥現象」
多くの人は「正方形の土地がいい」「南面角地がいい」「北道路はダメ」「広いほうがいい」「旗竿の土地はやめたほうがいい」など、一般的によく言われる「常識」をもとに理想の土地を探します。しかし、「正方形で、南面角地で、広くて、フラットで、日当たりのいい土地」など、そうは見つかりません。存在しないとまでは言いませんが、あったとしてもかなり高額で、しかもすぐに売れてしまいます。ほとんどの人には手に入らない「幻」のようなものです。 にもかかわらず、このような幻の土地を求めて延々と土地探しを続けてしまう人がいます。メーテルリンクの童話『青い鳥』のチルチルとミチルのように、「100点満点の理想の土地」を求めてさまよってしまうのです。童話にちなんで私はこれを「青い鳥現象」と呼んでいますが、土地探しでは往々にして起こります。 童話では結局、青い鳥は自宅にいたことから、「幸せは遠くではなく身近にある」「理想を求めるあまりに大事なことを見落とすことがある」などをこの物語は示唆していますが、まさに土地探しでも同じことがいえます。 前編でもお話した通り、地形に難があっても設計のアイデア次第でどうとでもなります。狭い土地も、2階、3階と上にのばすことで広さを確保することはできますし(法的な制限にもよります)、広さは物理的な条件だけでなく「感覚的な広がり」で叶えることができます。南向きの土地でなくても光を取り入れる方法はいくらでもあります。