意外な国で「日中トイ戦争」勃発 “カプセル”vs“アート”…日本勢に勝ち目はあるか
人気をけん引する「Molly」「CRY BABY」
先述のとおり、日本のカプセルトイはアニメの人気キャラクター頼りだが、一方、中国のアートトイはおもちゃそのものの「かわいさ」で人気を博している。中国のメーカーは、世界のデザイナーと提携し、多くの商品を販売している。 その中でも人気が高いのが「Molly」や「CRY BABY」だ。「Molly」は、綺麗なブルーの大きな瞳で、ツンと尖った唇がチャームポイントのキャラクター。タイだけでなく中国でも人気だという。「CRY BABY」は、タイのアーティストとはじめてコラボした作品だ。いつも涙を流しているキャラクターで、愛らしい見た目が、タイ人の感性にフィットしている。 タイ政府も、この人気ぶりに関心を示した。観光庁は、POP MARTと共同で、オランダのデザイナーが考案した人気キャラクター「LABUBU」と提携した。そこにタイの要素を取り入れた「タイ版LABUBU」を企画し販売をはじめたのだ。タイと中国の関係樹立50周年の記念事業でもあったのだが、デザインチームには、タイ人も含まれている。 このタイ版LABUBUは、若い層に広まり、鞄につけられたぬいぐるみキーホルダーを街角でよく見かけるようになった。
中国メーカーも「自販機」に乗り出し、対決は本格的に
とはいえ、POP MARTなどの中国系元具メーカーと日本のカプセルトイは別物と考えられていた。前者は店頭販売が中心で、日本のカプセルトイは自販機と、販売チャンネルが異なるからだ。 だが――POP MARTをはじめとする中国系メーカーが、自販機の世界にもなだれ込んできたことで、火花が散りはじめた。当初、中国系メーカーの機体は、日本のカプセルトイから離れた場所にぽつんと置かれることが多かった。ところが最近、両者は接近。並んで売られる場所が次々にでてきた。 もっとも、同じ自動販売スタイルでも、中国系の多くはカプセルではなく、箱に入って販売されるという違いがある。そして、飲料の自動販売機のように、ほしい商品を選ぶことができる。品揃えも違う。日本のカプセルトイは、アニメキャラクターや動物、食べ物など、種類が豊富でどれも小さく、キーホルダーや置物として使えるものが多い。対して中国系販売機のトイは、デザイン化されたフィギュア系が中心だ。サイズもやや大きく、キーホルダーよりも置物として楽しむものが中心だ。値段もかなり違って、350バーツ(1,500円)前後と、日本のそれと比べて倍である。