ゼレンスキー氏が「勝利計画」を発表、友好国の支援に依存 キーウ市民の反応はいまひとつ
ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ウクライナ議会で演説し、対ロシア戦争を終結させる「勝利計画」を発表した。直ちに計画に着手すれば、遅くとも2025年中に戦争を終結させられる可能性があると述べた。 ロシア軍が東部で進軍し、停電で厳しい冬が迫る中、ゼレンスキー氏は同国の勝利は5つの点にかかっていると述べた。それらは北大西洋条約機構(NATO)加盟への無条件での招待や、西側兵器のロシア本土への攻撃制限の緩和など、友好国の支援に依存している。 同氏はロシアからの将来にわたる脅威からウクライナを守るため、「核によらない包括的な抑止策」が必要だと述べた。また、ウクライナの天然資源をロシアの攻撃から守るために西側諸国の役割と、戦後の復興に向けた誓約が必要だと強調した。 この計画は、数十億ドル規模の兵器を供与してきた西側友好国の政治的意思を試す重大な試金石となっている。NATOは、ウクライナの加盟に向けて進展しているとしているが、招待するまでには至っていない。 NATOのルッテ事務総長は16日、勝利計画の詳細を把握しているとする一方、現状では計画を全面的に支持するとは言えないと述べた。 ロシアは16日、ゼレンスキー氏がNATOをロシアとの直接対決に追い込もうとしているとして勝利計画を非難した。 キーウで16日行われた捕虜になった兵士たちを支援する集会に参加した市民らに話を聞いたところ、ゼレンスキー氏が発表した勝利計画に対する関心は高くないようだった。 25歳の男性は「正直に言うと、この勝利計画がすぐに我々を勝利に近づけるとは信じていない。すべては、この勝利を作り上げ、勝利に近づくために多大な努力をしている我々の兵士たちにかかっている」と語った。 また行方不明の兵士の妻だという女性は「すべての戦争は和平交渉で終わる。私たちの大統領は賢明な人物であり、この戦争を終わらせ、すべての親族を連れ戻すのに役立つ効果的な影響力を持っていると思う」と述べ、計画への期待感を見せた。