【セックスレスの悩み/体験談インタビュー】解消した人、解消したい人、レスでもいいけれど不安な人
CASE3 【産後レスが、コミュニケーション不足の改善で解消へ】/Mimiさん(30代後半)
「2019年に1人目を出産したのですが、コロナ禍という慣れない環境と、育休後すぐにフルタイムで仕事復帰したことから時間的にも気持ち的にも余裕がなく、セックスの回数が月に1回程度に減りました。その約2年後に2人目を出産。1人目の出産でした会陰切開の傷跡も気になってセックスが怖くなっていたのと、育児と家事に追われてメンタルが弱っていたことも重なり、誘いを断り続けました。 そうこうしているうちに夫は仕事が忙しくなり、次第に一緒に過ごす時間や会話が減って、気持ちもすれ違い、求められることもなくなっていった結果、1年半くらいレスが続きました」 ■母の一言で、夫とじっくり話し合ったことが、解消への大きな1歩に 「それまでしたことがなかった喧嘩を、1人目出産後からするようになり、2人目の産後には感情的に言い合うように。お互いにスキンシップが好きだったのですが、この頃は『触るのも触られるのもイヤ』『同じ空気も吸いたくない!』と思うくらい、夫に対して勝手にイライラを募らせてしまっていたんです。 あるとき、私の母が家に遊びに来ている最中に大きめの言い合いになり、母が『あなたたち、大丈夫? 子どもたちは見ているから、2人で外で話してきなさい』と言ってくれて。渋々2人の時間を持ったのですが、これがレス解消のきっかけとなりました。 この際だからと思って『レスなのは私にもう興味がないからでしょ?』とか、踏み込んだ話までしました。すると彼から『言いたいことは言ってもらわないとわからない、察してくれと思われていてもわからない』と言われ、お互いに『理解し合えていなかった』『もっとコミュニケーションを取るべきだった』と気づくことができました。それ以来、毎週土曜日の子どもが寝たあと、2人で“ミーティング”を開くようにして、今、モヤっとしていることを共有しています。価値観が違うのは当たり前だから、それを無理に相手に合わせたり、合わせてもらったりするのではなく、『折り合いをつけるようにしようね』というのが目的。このミーティングを開くようになって、お互いが考えていることを共有できるようになり、レスが少しずつ解消されてきています」(Mimiさん) ■セックスを心から楽しむために、気持ちはきちんと伝え合う 「セックスって、言葉とは違うコミュニケーションだと思うんです。セックスの後は、相手のことをより大切に思えるし仲良くできる。だから相手を喜ばせたいし、楽しい気持ちになってほしいと自然に思うようになる。そして相手のその様子を見て、自分も幸せな気持ちになりたい。 そのためには、セックスにしっかり集中する、没入できるようにすることが大切だと思うようになりました。“こうしてほしい”ということをきちんと伝え合って、どちらかだけが楽しい、一方通行なものにならないようにしています」 「セックスレス」といえど、その背景や状況、そして思っていることは人それぞれ。けれど3人の話に共通していたのは、セックスレスの状況が「性やパートナーとのコミュニケーションにおいて、自分はどうしたいのか」を、考えるきっかけになっているということ。さらにそれを人に話していくと、自分の気持ちが整理され、どんなアクションをしたいのか、したくないのかが、少しずつ見えてきていた。正直まだまだ話しづらいトピックである「セックスレス」。けれど、話してみることで得られる気づきもありそうだ。 自分の中のモヤモヤに向き合い、「どうしたいのか」をじっくり考えたり、パートナーや友人、婦人科医やカウンセラーなどの専門家に話を聞いてもらって考えを整理するのもきっと良いこと。性に対して健康で心地よいと感じられる状態を作るためにも、自分自身が安心できるかたちで、自分の性に向き合うようにしていきたい。 interview&text:Mie Kawamura photography:Hallel Miura edit:Ayano Homma