自身が発起人として実施した「DAWN　GAMES」で子どもたちの走りを見て笑顔のサニブラウン・ハキーム＝東京・調布市（撮影・高橋朝香）

陸上の男子100メートルで今夏のパリ五輪代表のサニブラウン・ハキーム（25）＝東レ＝が13日、自身が発起人の「DAWN GAMES（ドーンゲームス）」の決勝大会である「DAWN GAMES FINAL Powered byTORAY」を東京・調布市内の競技場で開催した。小中高生の男女が各カテゴリーごとに100メートルで競い合い、優勝者にはスパイクが贈られた。サニブラウンは、「実際にやってみるととても濃い時間だった」と満足そうに語った。 12日にはトレーニングキャンプを行い、この日は、大会に先立って小学生を対象としたクリニックを実施。男子走り幅跳びのパリ五輪代表で、サニブラウンと公私ともに仲が良い橋岡優輝（25）＝富士通＝らも参加し、一緒に体を動かしながら交流を楽しんだ。報道陣から「（参加した）選手に聞いたら、教え方が上手かったと話していた」と振られると、「そう言ってもらえてうれしいです。教える立場になったことはなかったので。いろんな練習法があって、その中で正解なんてない。自分もいろんなものを見て経験して、試して今の自分があるということを伝えられていたらいいな」とはにかんだ。 大会は、東日本、西日本の予選を突破した選手に数人を加えて実施され、サニブラウン、橋岡が見守る中で熱戦を繰り広げた。「今はオフですが、みんなが走っている姿を見て試合に出たくなった」とサニブラウン本人も刺激を受けた様子だった。 この大会は、サニブラウン自身の「日本の陸上界を盛り上げ、世界レベルと戦える水準まで引き上げたい」という思いから企画。今年は初の全国大会として開催された。「最前線で戦っているからこそ引退後よりも心に響くものがあると思う。将来的には、もっと大きな大会にしてお客さんもいれて。もっといろんな子どもたちにチャンスをあげられるような大会、キャンプにしていきたい」と〝野望〟も語った。 サニブラウンは今季、パリ五輪の準決勝で9秒96をマーク。惜しくも決勝進出は逃したが、自己ベストを記録した。ダイヤモンドリーグファイナルにも、男子100メートルとしては日本勢で初めて進出し、6位に入った。来年9月には、東京で世界選手権（国立競技場）が開催される。「1歩1歩、海外の選手に追いつく、ないしは追い越せるように頑張っていきたい」と意気込んだ。